第四章
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それでもいるらしい、それで私は言った。
「そこに赤ちゃんが」
「そうなの」
「先輩お一人じゃないんですか」
「半分どころかね」
苦笑いと一緒に私に言ってくる。
「三人になるわ」
「三人ですか」
「先生にお話したら呆れられたけれど卒業はさせてくれるって言ってくれたわ」
「よかったですね」
「色々愚痴愚痴言われたけれど」
赤ちゃんが出来た、だからだった。
「卒業はさせてもらうから」
「それで卒業したら」
「もう婚姻届は出したから」
その話ももうだというのだ。
「後は赤ちゃん産んで新しい生活はじめるわ」
「凄いですね」
「自分でもびっくりよ、半分だって思ってたら」
それどころかだった。
「三人よ、一つになってから」
「人って増えるんですね」
「増えるわよ、だから貴女もね」
「私もですね」
「気をつけてね、まだ二年でしょ」
「はい」
彼氏はまだ一年だ、それだとだった。
「三人になったら駄目ですよね」
「私は三年生だから許してもらったけれど」
二年ではわからない、下手をしなくても退学だの中絶だのいう洒落にならない話にもなる、だからだった。
「気をつけてね」
「わかりました」
「暫くは一つのままでいるのよ」
先輩は自分のその経験から言って来る。
「それじゃあね」
「そうですね。今は一つのままでいます」
私は一つになったけれど今は一つのままでいることにした、三人になるのはもう暫く先にすることにした。
ただ半分ではなかった、それで先輩にこうも言った。
「やっぱり一つっていいですね」
「そうでしょ、半分よりずっといいでしょ」
三人になる先輩からの言葉だ、私はその言葉を聞いて笑顔で頷いた。半分でいるよりもずっと幸せだった、今は。
二分の一の神話 完
2013・4・3
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