第六章
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「だからそこは諦めてな」
「はい、最悪のクリスマスを迎えますか」
「マーマイトとビスケットの」
「あとどうにもならないオートミールで」
三人もやれやれといった顔である。
「そうなりますね」
「今年のクリスマスは」
「盛大に祝うのは勝ってからだ」
つまりだ、戦争が終わってからだというのだ。
「その時まで楽しみにしてよ」
「そういうことですね、それじゃあ」
「イギリス軍の方に行って」
ものを届けたという手続きをしようということになった、そうしてだった。
四人でイギリス軍の基地の中に入った、そうして物品を無事届けたという書類の手続きと宿泊するテントの案内もされた、そしてだった。
イギリス軍の方からだ、四人にこう言ってきたのだった。
「では今から」
「はい、クリスマスだからですね」
「パーティーですね」
「楽しんで下さい、いやあよかったです」
ここでだ、四人の世話を担当する兵士は明るい顔で言うのだった。
「楽しいクリスマスになります」
「楽しい?」
「イギリス軍のクリスマスが?」
「いや、何しろ我が軍はものがなくて」
彼等も自覚していることだった、このことは。
「クリスマス位普通のものを口にしたいので」
「あれが普通だったら怖いな」
「ああ、マーマイトなんぞがな」
四人はイギリス軍の兵士の話を聞きながらひそひそと話した。
「あんなまずいもの普通に食うとかな」
「幾らイギリスでもな」
「流石にないだろうしな」
「是非ご一緒に」
パーティーを楽しんで欲しいというのだ。
「早速トラックから出しますので」
「トラック?」
「トラックっていうと」
「勿論貴方達が乗って来たトラックです」
まさにそれだというのだ。
「アメリカ軍に注文して持ってきてもらったのです」
「うちの軍って」
「じゃあ何だ?」
「まさかまたスパムか?」
「イギリス軍にもスパム送るからな」
四人はこう考えた、だがだった。
イギリス軍はその彼等が乗って来たトラックから出してきたのを見てだ、目を見張って言うのだった。
「おいおい、バウンドだけれどケーキか」
「ああ、ケーキだよ」
「間違いないよ」
ケーキはケーキだ、それにだった。
「七面鳥の燻製もあるな」
「しかもワインもな」
「俺達が運んできたものはこれか」
「食いものに飲みものだったんだな」
しかもだ、どれもクリスマスに飲み食いするものだった。イギリス軍の兵士は四人にそういったものを見せつつ言うのだった。
「いいですね、アメリカ軍は」
「クリスマスに食うものがあってですか」
「それに飲みものも」
「はい、よかったですよ」
こう言うのだった。
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