暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十三話 フェザーン謀略戦(その5)
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
衝突事故が発生しました。突っ込んだパトカーが宙に舞ったほどです。そんなの初めて見ました。

その後は前方にパトカーのバリケードを敷いて私達を止めようとしましたが、それもデア・デッケン少佐が多機能複合弾で一蹴しました。破壊されスクラップになったパトカーをデア・デッケン少佐の地上車が弾き飛ばし、その突破口を私達が走り抜けました。あれも凄かったです。

警察は私達が自由惑星同盟の危険極まりない破壊工作員でルビンスキーだけでなくレムシャイド伯も拉致したと考えているようです。何度も二人を開放して投降しろとヘリが呼びかけていますし今も呼びかけています。

愚か者共め。私達は破壊工作員などではありません。氷雪地獄の大魔王、エーリッヒ様とその忠実なる眷族達です。このフェザーンには大魔王様を侮る愚かな妖狐、白狐と黒狐を懲らしめるために来ました。

降伏を勧めたにもかかわらず黒狐は愚かにも大魔王様に逆らいました。地球などという良く分からないものに忠義だてしたのです。大魔王様のブリザードが吹き荒れました、黒狐は大魔王様の氷柱で串刺しにされ悲鳴を上げて降伏しました。鎧袖一触です。愚かな黒狐は全ての魔力を奪われただの狐になってしまいました。今は囚われの身です。口を利く事も出来ぬ程打ちひしがれています。

白狐は賢明にも直ぐに降伏しました。大魔王様はそれを受けあまつさえ白狐を眷族に加えるという好意を示しました。固めの杯まで交わしたのです。白狐は大いに喜び大魔王様に忠誠を誓っています。白狐の部下達も大魔王様に忠誠を誓いました。彼らは今、黒狐の屋敷に戦利品を奪いに行っています。

イゼルローンに続きフェザーンの妖狐を下した事で大魔王様の悪名、いえ勇名はまた一段と上がりました。いずれ全銀河が大魔王様の前にひれ伏すでしょう。その時宇宙は平和になると思います……。作り話に思えないところが怖い……。


「やれやれ、自治領主閣下はともかくレムシャイド伯は自由意志で我々に同行しているのですが」
シェーンコップ准将が肩を竦める仕草をするとヴァレンシュタイン提督がチラと准将を見ました。

「一人攫うのも二人攫うのも同じ事です、気にすることは有りません。好都合でしょう、連中は我々が協力体制を取っている事を知らずにいる」
「……まあ、そうですな。ルビンスキーの自宅ですか」
提督が無言で頷きました。そしてシェーンコップ准将に顔を向けました。強い視線で准将を見ています。准将もその視線に気圧されるかのように姿勢を正しました。

「シェーンコップ准将、どんな手段を使っても構いません。私を無事にベリョースカ号まで運びなさい。私はまだ死ぬわけにはいかないんです」
准将が微かに目を見張り、そして口元に笑みを浮かべました。

「お任せあれ、必ずや閣下をベリョースカ号へお連れ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ