第四十九話 準備期間の朝その七
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「私はそれで済んだから」
「そうなのね」
「そう、けれど委員長は大変だったのね」
「自分でも相当飲んだと思うわ」
「どれ位飲んだの?」
「一升瓶空けたから」
委員長はその量について答えた。
「日本酒でね、それからもどんどん飲んだから」
「それでなのね」
「朝起きたら死んでたわ」
二日酔い、それでだ。
「完全にね」
「だからシャワーや学校のお風呂じゃなくて」
「そう、八条温泉のサウナに運ばれてね」
連れて行かれたどころではなかったのだ。
「お酒抜いてなのよ」
「復活出来て何よりだけれど」
「凄かったわ、あとね」
「あとって?」
「今琴乃ちゃんから傘の色塗ってるけれど」
傘の妖怪だ、日本の妖怪の定番の一つだ。
「もっとね」
「明るい色じゃなくてよね」
「そう、暗くして」
「今みたいな感じよね」
「もっと暗くして、あと顔もね」
から傘のその一つ目の顔もだというのだ。
「おどろおどろしい感じで」
「怖い感じね」
「から傘ってどうしてもコミカルな感じじゃない」
「それはね」
「けれどね」
そこをだ、あえてだというのだ。
「怖くしてね」
「お化け屋敷だからね」
「皆とにかく怖くすることを意識して作ってるじゃない」
何しろそれを追い求めて裸の先代将軍の団体を考えていた程だ。これは怖いだけでなくあまりにも不気味だ。
「だからね」
「もっとよね」
「そう、怖くね」
求めるものはコミカルでないことは確かだった。
「それも思いきり」
「わかったわ、それじゃあね」
「衣装も凝ってるから」
それもだというのだ、人が着る。
「幽霊の服だってね」
「あと私化け猫になるのね」
「折角演劇部のメイクの子がいるから」
有能は人材は使うべきだというのだ、そうでなくては成功するものも成功しない、
「是非共ね」
「怖くなのね」
「そう、怖くよ」
しかも思いきりにだというのだ。
「そういうことでね」
「わかったわ、それじゃあね」
こうした話をしてだ、そしてだった。
琴乃はから傘をかなり怖く描いた、それを委員に見せるとだった。
委員もだ、納得した顔で頷いて言ったのである。
「それでいいわ」
「これで暗がりの中からぬっと出て来たらね」
「怖いからね」
「これはいいわね」
「そうね、後ね」
「後って?」
「あれだけれど」
委員は教室の壁の後ろの方を見た、見ればその上の方には今もあの何処ぞの人造人間の格好の今の将軍様がいる。
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