六十四 捜し人
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孫同然に可愛がっている子だ。それを不可抗力にも覗いたなどと知られれば、どんな報復が待っている事か。考えただけでもゾッとする。
以上のように自身の身の安全の為に始めたナルの修行だったが、今となっては彼女を弟子に認めざるを得ない自来也である。
ちょっとコツを教えただけで【水面歩行の業】もあっさり覚えたし、【口寄せの術】でガマブン太どころかフカサクまで呼び寄せた。本試験で日向ネジに勝利し、九尾のチャクラを引き出して、あの『砂瀑の我愛羅』を打ち負かした。
だから自来也と波風ナルは、今や自他共に許された師弟関係だ。『暁』に狙われている危険性を考慮に入れても、それは決定事項。
決してフカサクに弟子を横取りされそうになったからだとか、覗き見した罪悪感だとかが理由ではないのである。
素知らぬ顔で歩くナルの背中を見つめながら、自来也は自身にそう言い聞かせるのだった。
真っ青な空を鳥が気持ちよさそうに飛んでいる。
眼下の道を往き来する人々。それを俯瞰しながら、鳥は太陽を背に翼をはためかせた。一声高らかに囀る。
その啼き声を掻き消すほどの大きな声が街道で元気よく響き渡った。
「エロ仙人、早く修行しようってばよ!」
「まぁそう焦るなっての。情報収集をしながらの修行じゃないと意味が無いからのお」
結局エロ仙人呼びが定着してしまったと苦笑する。しかしながら呼び名はどうであれ、自身を慕ってくれるナルを自来也は微笑ましげに見遣った。
「情報収集?…ってエロ仙人が取材したい、すっごい美人の女の人?」
出し抜けに自来也から取材旅行に付き合えと里から連れ出されたナルは今まで何の説明も受けていなかった。修行目当てに追従したものの、流石にそろそろ目的をはっきり明示してもらいたい。
ナルの質問に対し、自来也は驚いたように目を見張った。愉快げに笑う。
「お!お前にしちゃあ、鋭いのお――そう、ワシと同じ三忍の一人『綱手』だ」
自来也の返答を聞き、ナルは首を傾げた。
「同じ三忍……って事は…もしかして、同い年…?」
「そのとお〜り!!」
ふざけて親指をぴんっと立てる師をナルは無言で見上げた。弟子の冷たい視線を受け、自来也が慌てて咳払いする。
「とは言っても、年齢は関係ないのう。あやつは老けるのが嫌で、今もたぶん特別な術で容姿を変えとる。実際は五十歳でも二十歳頃の姿だからのぉ……それどころか、最近聞いた話じゃ、臨機応変に姿を変えて金貸しから逃げ通しているらしいからなぁ」
「金貸し?」
きょとんと目を瞬かせるナルの隣で、自来也は昔を懐かしむように目を細めた。
「あやつは賭け事が何よりも好きでのう…その割に運も実力も最悪で、ついた異名が『伝説のカモ』!金を借りて取り返そうとしても、やっぱりカモられる。
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