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渦巻く滄海 紅き空 【上】
六十四 捜し人
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えなかった償いのような形になってしまったと、罪悪感に苛まれるヒナタ。
また、ナルの了解無しにお世話するなんて迷惑かと一瞬思ったが「あの子なら、むしろヒナタが面倒みてくれたって喜ぶわよ」という、いのの自信満々な一言に押され、帰路につく。
家に持ち帰る道中、悶々と悩んでいたヒナタはふと天を仰いだ。

ナルの瞳と同じ、真っ青な空。
胸に抱く鉢植えと空を交互に見遣って、心が若干軽くなる。青空にくっきりと浮かぶ白い雲を眺め、ヒナタは小さく呟いた。

「ナルちゃん、どうしてるかな…」















ヒナタといのの話題に上っていた人物。
友達がそんな会話をしていたなどとは露知らず、彼女は今、青空の下で自来也にせがんでいた。

「ねえ!ねえ!エロ仙人!一体今度はどんな術教えてくれんのォ―!?」
「……………」
「サスケの【千鳥】よりすっごい術なんだよな!?早く教えてくれってばよォ、エロ仙人!!」
「……お前な…」
ナルの『エロ仙人』連呼に、自来也は薄く青筋を立てた。
「エロ仙人、エロ仙人ってな…。お前、ワシがすっごい人だって知らんだろ?」
「…?エロ仙人はエロ仙人だってばよ?」
全く以って他意も無く、ただただ無邪気に首を傾げられ、エロ仙人こと自来也は深い溜息をついた。直ちに道の往来で告げる。

「蝦蟇の仙人とは仮の姿!何を隠そうこのワシこそが!北に南に西東に!斉天敵わぬ三忍の白髪童子蝦蟇使い!泣く子も黙る色男!“自来也様”たぁ〜ワシのことよ!!」
髪を振り乱し、派手な身振りで啖呵を切り、内心(決まった……っ!)と満足感に浸る自来也。
その隣を何事も無かったかのように、てくてく歩くナル。


「……ふぅ〜ん…」
擦れ違いざまに呟かれた一言が、自来也の心を冷たく吹き晒していった。




波風ナルは自来也の押し掛け弟子である。
その経緯は、正直言って単純極まりない。

修行疲れで銭湯に立ち寄ったナルが偶々一人で温泉に入っていた。ちょうどその折、自来也が取材と称した女湯覗きに精を出していた。当然、女湯に入っていたナルを見る。

つまり自来也は波風ナルを覗き見してしまったのだ。しかもその際、温泉には偶然ナル一人だったので、自来也は思いっきり落胆した。それに気づいたナルが「責任とって修行に付き合え」と自来也に迫ったのである。
ナルにとっては自分の裸が見られた事は全く問題ではない。問題なのは、一人きりの温泉で【水面歩行の業】の修行に勤しんでいたのを邪魔された事だ。

自来也にとってナルは許容範囲外だし、本当にただの偶然だし、見たくて見たわけではないと色々言い訳出来るのだが、ナルの「普通なら訴えられるってばよ」の一言にぐうの音も出なかった。
何せナルは三代目火影が
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