六十四 捜し人
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それは幼いなりに覚えた、孤独を和らげる手立てだったのかもしれない。
子どもながらに学んだ、心を慰める為のすべに過ぎなかったのかもしれない。
それでも愛情をかけた分だけ、育ってくれる。
大切に接すれば接するほど、愛情を返してくれる。
目を掛け、心を傾けた事がそのまま、成長へと繋がってくれる。
家族がいないナルにとって、物言わぬ植物達は共に夜を過ごす家族同然となったのだ。
それが哀しく感じていた彼女は、今回己を頼りにしてくれたナルに聊か安心していた。以前なら例え枯らす結果になっても、ナルはいのに花の世話を頼まなかっただろう。
だが、頼るという行為を誰よりも悪いと思い込んでいた彼女が、今朝は大事な鉢植えの面倒を頼んでいったのだ。
それがどんなに凄い事か、幼馴染であるいのにはよく解っていた。思わず微笑が零れる。
「そ〜!なんかね、病院に入院してた時、見舞いに貰ったお花なんだって。そんなこと言われちゃったら、面倒見ないわけにはいかないでしょ〜」
その一言を聞いて、ヒナタは目を丸くした。中忍本試験前、ナルから聞いた話の内容を思い返す。
演習場で、うずまきナルトについて語ったナルの笑顔。
改めて目の前に並ぶ鉢を見つめたヒナタは、これらがうずまきナルトがナルに贈った花々なのだと即座に察した。
「確かにこの子達、私が見舞いに来た時、ナルの病室に飾ってあったわ〜。でも誰からなのか、聞くの忘れちゃって…。ヒナタは知ってる?」
「え…っ。う、ううん」
いのの質問に、答えを知っているはずのヒナタはなぜか言わなかった。
うずまきナルトだと、いのに伝える事を躊躇った。その理由がなぜか、本人にもわからないけれど。
知らないと口にした手前、疚しさを覚える。慌ててヒナタはいのに申し出た。
「あ、あのね、いのちゃん…。もしよかったら、わ、私にもナルちゃんのお花、お世話させてくれない、かな…?」
「え!いいの?助かるわ〜。お店のお花の面倒もあるから、正直困ってたのよ。それじゃあ、この子達頼んでもいい?」
素直に感謝したいのが八つある内、鉢植えを三つほどヒナタに手渡す。
ナル以上に草花が好きないのは、昔からどんな植物も子ども扱いしてしまう癖を持っている。最後まで『この子達』と呼んでいた鉢を、内心気まずく思いながらもヒナタは受け取った。
ヒナタが花店に立ち寄ったのは本当に偶然だった。店先で花に水をやっているいのの姿が目に留まったのだ。店の商品らしくない小さな鉢植えを慈しむように見つめるその様が、なんとなく気になったのである。それが憧れの人に関する事柄なら猶更。
ナルの大事な鉢植えを世話したいというのはヒナタの本心だ。そして、うずまきナルトに繋がる花が気になるというのもまた事実。
結果として、いのにナルトの事を伝
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