第134話
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出しを開け、煙草の箱と小型の高性能空気洗浄機を取り出した。
禁煙エリアが拡大しつつある昨今、逆に喫煙専門の店舗を作る風潮も広まりつつあった。
カクテルの代わりに世界各国の煙草を揃えたバーも珍しくない。
学園など大抵は全面禁煙が敷かれていそうなものだが、学園都市では以外に校内の喫煙が認められている場合が多い。
これは学校の教師が様々な分野の研究者が兼ねているパターンが多く、彼らの集中力をごっそり欠く事が学園都市全体の損益に関わる、という統括理事会からの配慮だ。
そんな訳で、喫煙申請を出した教師には小型の高性能空気洗浄機が支給される。
小萌先生はそれらを四つ取り出し、机の四隅にそれぞれ配置する。
各々は一方向からの空気しか吸い込まない。
しかし四つがそれぞれ作動すると、まるで洗濯機に攪拌されるようなされるように机の上の空気が円状に動く。
薄っぺらい紙切れ一枚動かないほどの空気の流れだが、それが確実に煙草の煙を捕らえて吸い込み、フィルタを通して清潔な空気を吐きだすのだ。
空気力学を応用した最新モデルであり、同時に無料支給できるほどコストを抑える事にも成功した。
「よっと。」
小萌先生は机の端に置いた空気洗浄機のスイッチを入れる。
煙草に火を点けて、吸い始める。
そこへ、緑色のジャージを身にまとった信じられないほどの巨乳教師、黄泉川愛穂が後ろから小萌先生に話しかける。
「おっすー、センセ。
今は息抜きの最中?」
「そうですよ。」
煙草の煙を机の板の表面に吹き付けるように煙を吐く。
いつもなら元気よく返事をする小萌先生なのだが、今日は進路希望調査を見て疲れているのか声に元気がない。
「黄泉川先生も吸いますか?」
煙草の箱を愛穂に差し出す。
それを愛穂は受け取らずに苦笑いを浮かべる。
「最近、黄泉川先生は煙草を吸わなくなったですね。」
「吸わなくなったわけじゃないくて、吸えなくなったじゃん。」
「どういう事ですか?」
「ウチの家に時々、おっかない家政婦みたいな奴が来るんじゃん。
そいつはウチが煙草一本でも吸うと、その匂いに気がついて説教してくるじゃんよ。」
「その家政婦さんは黄泉川先生の事が大事なんですね。」
「それで心配させてしまうのも悪いし、それ以来煙草を止めたじゃん。」
と、説明している愛穂の顔はとても嬉しそうな顔をしている。
すると、愛穂は何かを思い出したのか携帯を取り出す。
「電話ですか?」
「そうじゃん。
これからくる子供達の相手をしてもらう為の呼び出しじゃん。」
そう言って愛穂はその人物に電話を掛ける。
数コールが続いた後、その人物の声が聞こえた。
「何の様だ、愛穂。」
その人物とは麻生恭介
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