最終話
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前方から迫り来る空間のうねり。その得体の知れない術を前に、オビトは自分の死を幻視した。だが、己の死を見た瞬間オビトの憎悪は膨れ上がり、写輪眼が燃えるような熱を帯びた。
(負け、られるかよ!)
「万華鏡写輪眼!」
カカシ同様、オビトの写輪眼が二重の三枚刃の手裏剣のような模様へと進化する。オビトの憎悪が、土壇場で壁を一つ乗り越えてみせたのだ。
既に空間のうねりは目前に迫っている。オビトは鬼気迫る表情で、右目に宿る力を解き放った。
――――天照!
全てを焼き尽くす漆黒の炎が、うねる空間とぶつかり合う。全てを消し飛ばす神威と、あらゆるものを焼き尽くす天照は互いに食い合い潰し合い、消滅した。
「オビト・・・・・・」
「カカシ・・・・・・」
切り札たる神威は防がれた。これでもう、カカシには手がない。だが、それでも負けるわけにはいかなかった。痛みを訴える脇腹を無視し、立ち上がる。よくよく見れば、オビトも体中にやけどをおっている。おそらく、至近距離で天照を発動したせいだろう。なら、条件は五分と五分。今度こそ、本当に決着がつく。
「オビトォオオオオオ!」
「カカシィイイイイイ!」
真の決着をつけるべく、二人は再び地面を蹴った。
「カカシ・・・・・・お前」
三代目火影、猿飛ヒルゼンは結界の外でカカシの戦いを見守っていた。そして、気づいた。カカシが、殻を破ろうとしている。同じ班であった友を二人共自分のせいで死なせ、師であるミナトも亡くなり、その忘れ形見に大きな業を背負わせることとなってからカカシは己をカラに閉じ込めてしまっていた。
影とは優れた忍であり、またどこか常人とは一線をかくすモノを持っている者達ばかりだ。だが、殻に閉じこもっていたカカシにはそれがなかった。だからこそ、ヒルゼンはカカシを次代の火影候補とみなしながらも誰にもその考えを告げていなかったのだ。
(本来ならば、悲しむべき事態であるというのに)
死んだはずの友が憎悪をもって襲いかかる。それは悲しむべき事柄のはずだ。だが、それでもヒルゼンはカカシが殻を破ろうとしていることが嬉しかった。
「カカシよ。お前は間違いなく火影の器じゃ。だからこそ、勝ってみせよ! 己の過去に!」
――――神威!
――――天照!
何度目かの衝突の後、二人の必殺の一撃がぶつかり合う。万華鏡写輪眼には万華鏡写輪眼でしか対抗できない。しかし、万華鏡のチャクラ消費は膨大。既に何度も万華鏡の力を開放している二人のチャクラはそこをつきつつあった。
「そろそろ、終わりが近いようだな」
「その、ようだ」
二人の万華鏡が同時に普通の写輪眼へと変化する。もう、万華鏡を維持することができな
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