妖精女王、散る
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・・」
「ナツ!?ティア!?」
先ほどの小さな悲鳴に反応し目を覚ました2人は、信じられないものを見るような目でエルザを見つめる。
「な、何・・・してんだ・・・」
「アンタ・・・体が水晶に・・・」
エルザの今現在の状況を把握したナツとティアの声が、震えた。
「エーテリオンを止めるには、これしかない」
「エーテリオンを止める?」
「!何よ、これ・・・」
エルザの言葉に初めて周りの状況に気づいた2人。
もう、床として機能する魔水晶は3人のいる床だけだった。
「じきにこの塔はエーテリオンの暴走により、大爆発を起こす。しかし、私がエーテリオンと融合して抑える事が出来れば」
「バカヤロウ!そんな事したらお前が!」
「何バカな事言ってるのよ!」
2人はすぐに察知した。
エルザが何をしようとしているか。そして、その場合エルザがどうなるか―――――。
「うあっ!」
「エルザ!」
ズズズ・・・と、エルザの体の半分が魔水晶に吸い込まれる。
「何も心配しなくていい・・・必ず止めて見せる・・・」
「バカじゃないの!?」
「あああ・・・!」
「よせーーーーーーーーーーーーー!!!」
更に吸い込まれていくエルザを引っ張り出そうとエルザに駆け寄るナツとティアだが、先ほどのジェラールとの戦いで消費した体力や魔力はそんな素早く回復せず、体が思うように動かない。
「やめろ!エルザ!」
這うように進み、魔水晶の前までやってくる。
「ナツ・・・ティア・・・」
そんなナツの頬に、まだ吸い込まれていない左手を添える。
ナツが目を見開き、その隣に時間をかけてやってきたティアも言葉を失った。
「私は妖精の尻尾なしでは生きていけない。仲間のいない世界など、考えることも出来ない。私にとってお前達は、それほどに大きな存在なのだ」
その左手が、ゆっくりと離される。
「エルザ・・・」
目を見開いたままナツが呟く。
「私が皆を救えるのなら、何も迷う事はない。この体など・・・」
そして―――――――
「くれてやる!!!!」
遂にエルザの体が・・・完全に魔水晶へと入っていった。
「エルザ!出て来い、エルザ!」
「今ならまだ間に合うからっ!出てきなさいよ、エルザ!」
ガンガンと魔水晶を叩きながら叫ぶナツとティア。
「ナツ・・・ティア・・・皆の事は頼んだぞ」
そんな2人に、エルザが声を紡ぐ。
「私はいつも、お前達の傍にいるから」
その左目には―――涙が、浮かんでいた。
ナツの目にも―――ティアの目にも―――涙が浮かび。
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