妖精女王、散る
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「・・・」
瓦礫の中へと消えていくシモンから目を逸らし、生きて帰る為にナツとティアを抱えて走るエルザ。
「くっ」
膨大な魔力の柱。
割れる水晶の床。
大きな瓦礫を床代わりに着地しながら、エルザは走る。
その瞬間、塔の真ん中あたりが丸く変形した。
「うあっ!」
突然変形した床に足をとられたエルザは、その場に転ぶ。
その近くの床が、ぐにゃんと山をつくった。
(器・・・魔水晶をも変形させるほどの魔力か・・・想像以上の破壊力を秘めてるようだな・・・)
身を起こしながらエルザは周りの状況を頭に入れる。
(これでは外に出ても、暴発に巻き込まれてしまう)
中にいるのでは生きて帰る事は確実に不可能。
外に出ても必ず危険がついて来る。
「くそっ!ここまでか!」
諦めそうになったエルザは左の拳で力強く床を殴り付ける。
しかし、その目に気を失って倒れるナツとティアが映った。
(いや・・・諦めるものか・・・)
すくっと立ち上がり、見下ろす形で2人を見つめる。
(今度は私がお前達を救う番だ。ナツ・・・ティア・・・)
この2人は、魔力や体力がほぼ空になり、立っている事すらギリギリの状態で戦ってくれた。
なのに、こんな所で自分が諦める訳にはいかない。
(しかし、防ぐ事も脱出も不可能・・・)
エルザが考えを巡らせる間にも、瓦礫は落下し、床からは凄まじい量の魔力の柱が上がる。
(どうする・・・)
必死に考えていた、その時。
「!」
ジェラールの一言を思い出した。
先ほどの、エルザが拘束の蛇で動けなくなっていた時の言葉を。
―この27億イデアの魔力を蓄積した魔水晶にお前の体を融合する。そして、お前の体は分解され、ゼレフの体へと再構築されるのだ―
(融合!?)
そして、1つの考えが浮かぶ。
水晶に自分を映すように立ち、見つめる。
(私がエーテリオンと融合できれば、この魔力を私が操り暴発を止められるか!?)
確かに、そうすれば暴発を止める事は出来るかもしれない。
だが――――――。
(これにかけるしかない!)
『それ』を分かっていて、エルザはそっと正面の魔水晶に手を添えた。
「あぐっ!」
ズプッと右手首辺りまでが一気に吸い込まれる。
痛みに小さく悲鳴を上げた。
「うう・・・」
痛みに震えながらも、右腕は肘辺りまでが吸い込まれていった。
(よし!魔水晶はまだ私を受け付けている!)
―――――だから、エルザは気がつかなかった。
後ろにいるナツとティアの目が、うっすらと開いていた事に。
「エルザ・
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ