Introduction
第十二話 来襲
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僕ら専用機持ちはシード扱いで午後からとなった。そのため、しばらくは自由時間……なんだけど千冬さんから束さんの監視という名のお守役を仰せつかってしまった。
「なんだけどねぇ。困ったことにまだ姿が見えないんだよね。相変わらず連絡は取れないし」
そう、もうすぐ試合が始まるにも関わらずまだ束さんが来ていない。彼女のことだから僕ら専用機持ちの試合が始まるギリギリまで来ない可能性は高い。
「そう、でも注意した方がいいわ。篠ノ之博士の名前に釣られて招かれざる客もきているみたいよ。……ちょっときな臭いわ。亡国機業が動いているかもしれない。その場合、篠ノ之博士だけでなく私たちも標的になりえるから」
「うん、わかってる。楯無さんも気をつけて。ところで、こういう場に来そうなメンバーの情報とかってないの?」
「う〜ん、ほとんど尻尾を掴ませないのがやっかいなのよね。ただ、メンバーの一人が『巻紙礼子』と名乗っていたという情報があるわ。まぁ、同じ偽名を使いまわすようなおマヌケさんがいたらすぐに見つかるんだけどね」
どうやら更識の力でも亡国機業の情報を得るのは難しいようだ。実際、亡国機業の仕業とされている事件は公にされていないことがほとんどで、それを知ろうと思ったら裏の世界で調べるしかない。
今日の雰囲気は一般的な国や企業の研究者やスカウトというより、もっと異質な何かが紛れ込んでいる気がする。それはもしかしたら暗部組織かもしれない、他国の諜報かもしれない、そして亡国機業の可能性もある。思い過ごしならいいけど、束さんも来る以上警戒し過ぎるということはない。
僕と楯無さんが話しながら緊張感を高めているとき、ふと近寄ってくる人の気配を感じて話を中断する。そちらに意識を向けるとスーツ姿の女性が笑顔でこちらに近づいてきた。
その女性は僕らの前まで来ると名刺を差し出しながら声をかけてくる。
「いきなりで申し訳ありませんが少しお話をさせていただけないでしょうか。私はIS装備開発企業『みつるぎ』渉外担当、巻紙礼子といいます」
「……」
「……」
「……あの?」
どうやら悪い予感は当たったようだけど、なぜ亡国機業が今まで見つからなかったのかという疑問が増えてしまった。
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