Introduction
第十二話 来襲
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いうか危ないくらい目が据わっている気がする。間接的にとはいえ世界最強のブリュンヒルデをここまで追い詰めるとは。世界最凶は束さんということなのだろうか。シミュレータで一度も勝てたことがない千冬さんだけど、今なら倒せるんじゃないかと思うくらい疲れ果てている。
「試してみるか?」
「い、いえ、何のことでしょうか」
こ、怖い! その目で殺気を上乗せしないでください!
「えっと、いろいろごめんなさい」
とりあえず、遠からず僕が原因なのは間違いないし申し訳ない気持ちもあったので謝罪の意だけは伝えておく。すると、千冬さんの表情もいくらか和らいでくれた。
「いや、お前もどちらかというと被害者だろう。当日はなるべく穏便に済ませたいものだがお前にも苦労をかけるかもしれん」
「うん、ありがとう。本来は束さんとの関係はあんまり大っぴらにできないんだけど、向こうがどういう行動に出るのか……」
「簡単に想像できるが今はしたくはないな」
「うん」
その後は起こりうる問題について軽く話し合った。束さん来襲という共通の災難を持ったからか、少し千冬さんとの信頼関係が強くなった気がする。何だかんだ言っても彼女のことが嫌いじゃないという共通認識もあるんだろう。千冬さんは絶対認めないと思うけど。
さらに数日が経ち、今はもう学年別トーナメント開始を翌日に控えている。しかし未だに束さんと連絡がつかず、どうやら学園側も対応を決めかねている状況だった。
「結局、連絡もつかないの?」
「そうなんだ、学園にも結局その後連絡がないみたいでバタバタしてるようだね。織斑先生が担当だから大変そうなのは分かったと思うけど」
「確かに、ここ数日心配になるほど疲弊している気がするわね」
部屋に戻ってきていた僕と楯無さんは、自然と明日の学年別トーナメントのことと今や学園最大の関心事となっている束さんの来訪について話していた。
「一応、学園内では箝口令が敷かれて学外に漏らさないようにされているけど、もう主だった企業や国は掴んでるわね。更識が持っているいくつかの情報網にも引っかかってるわ」
「だろうねぇ、当日は変な気を起こす連中がいないことを祈りたいけど」
千冬さんの話だと既に複数から身柄引き渡しの要求などがきているらしい。現状は全て突っぱねているとのことだけどその処理などまで押し付けられた千冬さんは堪ったものじゃないと思う。
「それに関しては学園のセキュリティを信じるしかないわね。まぁ、いざとなったら私たちも動くし」
と、その時部屋をノックする音が聞こえてくる。
「どなたでしょうか?」
時間も時間なので不審に思い尋ねてみるが返事がない。仕方ないので扉まで向かい、恐る恐る開けてみると……。
「や
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