Introduction
第十話 地獄の番犬
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かから出てくると警戒しているダリルさんに対して、僕が選んだのは……上! ネームレスを飛び越えながら掴み直しまずは垂直方向にブーストをかけ直して勢いを増した踵落としで頭部を狙う。
『くっ、人の得意技を……真似するな!』
左右にそれぞれハデスを構えていたダリルさんは上から迫る僕に気づき、そのままハデスを交差させて踵落としを受け止める。そのまま弾き返されそうになるが、各所のブーストを使い分けて上半身を捻りながら側面
に回り込み、ダリルさんの背中を蹴り飛ばす。数メートル先の地面にぶつかり、止まるものの体勢が崩れている。狙うならここしかない!
「これで終わりです!」
イグニッション・ブーストをフルに使いながらネームレスを構え、最大加速の突きを繰り出しコンマ数秒の内にそれはダリルさんに到達する。そして、これで勝負は決した。
『そこまで!』
『……大したもんだ』
「ありがとうございます」
千冬さんの試合終了の合図に続くダリルさんの言葉に僕は素直にお礼を返す。
ネームレスの切っ先は、ダリルさんの胸元の……。
「でも……届きませんでした」
ハデスの一つに防がれた上でもう一つのハデスの銃口は僕に向けられ、そこから発せられた射撃は僕の残されたシールドエネルギーを削りきっていた。その時点でエネルギー残量は0となり僕の敗北が確定する。
『いや、届いていたぜ』
ダリルさんがそう言うと、ネームレスを防いでいたハデスが砕け散る。どうやら耐久力の限界を超えていたようだ。
『ったく、防御用の盾も兼ねてるからそうそう壊れるようにはできてないんだがな。ま、ケルベロスの首の一つが堕ちたんだ。だからまぁ……引き分けだな』
はぁ、こんなとこまで。本当にこの人はカッコ……つけすぎでしょう!? 引き分け? こっちはシールドエネルギー削りきられているんだからどんなに言い繕っても負けだよ!
あぁ、なんか良いこと言ったみたいなドヤ顔しているけど……ツッコまないよ、だって楯無さんが観客席から我慢しなさいって視線で訴えかけてきてるのがわかるもん。わかるよ、このまま僕と引き分けにすれば僕に勝った楯無さんはダリルさんより上ということなる。つまり生徒会入りまで自然に繋げられる。
「ダリルさんがそう仰るなら……そういうことにします。納得はできませんが」
だから僕は受け入れつつも、今の心境を素直に言葉にする。ダリルさんが悪い人じゃないのはわかってるからいっそのこと正直に話したほうがいいだろう。
『ははは、お前も相当な負けず嫌いだな、気に入った。いいぜ、生徒会に協力してやるよ』
その言葉を聞いた楯無さんが満面の笑みで僕にサムズアップしているのが見えた。
この二人……卒業までに絶対に一度は負かせてみ
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