Introduction
第七話 更識楯無
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ないようだ。
「あはは、ごめんごめん、拗ねないでよ。それと……ありがとう。こんな僕でも受け入れてくれて。正直、気持ち悪いでしょ、女装して女子高に通う男なんて。それに同部屋なんて……」
「何をいまさら。まぁ、あなたが周りの女生徒や私に興奮してるようなただの変態だったらすぐに半殺しにした上で社会的にも抹殺するつもりだったけど。……いろいろ苦労してたでしょ?」
何をいまさら、の辺りで僕の心は半殺しにされた気がするけど続く言葉は優しかった。
「ま、それにあなたも学園に味方が欲しいでしょ? 見た感じ今このことを知っているのは学園では織斑先生くらいかしら?」
「うん、よくわかったね」
それすら見抜くあたり、やはり情報力だけではなくて観察力なんかも卓越しているんだろうな。そういえば、ここまでで話題に出してこないってことは僕と束さんの関係とかは知らないのかな? 話してもいいけどとりあえずは束さんにも報告してからにしよう。
「さて、話してたら遅くなっちゃったしシャワーでも浴びてきたら? ご飯もまだでしょうし、入ってる間に何かつくっておくわよ」
「うん、ありがとう。……この前みたいに入ってこないでよ?」
もうバレてるとはいえ不意を突かれるのは心臓に悪いので目の前の前科者に警告だけしておく。
「さすがにもうやらないわよ! でも、ふふ。お嬢様な紫音ちゃんもいいけど素の紫苑君もなかなか、どちらも気に入ったわ。だからせめて部屋にいる時くらいは素でいてちょうだい」
そう笑う楯無さんはやはりどこか楽しそうだった。予想と全く違うここまでの対応に驚きはしたけど僕にとっては予想外なほど恵まれた展開で、少し前までの暗鬱とした気分は吹き飛んでいた。
シャワーから出てきたあと僕を待っていたのは楯無さんの手作り料理の数々。短時間でできるものじゃなかったから僕が来る前から仕込んでたんだろう、相変わらず準備がいいというか抜かりない。味の方も美味しかった。
ちなみに自己紹介の時に言っていた料理が趣味っていうのは実は本当でそれなりに自信もある。何故料理かというと、家でほとんど放置されていたせいで自分で作るしかなかったからだ。あとはたまに束さんの研究手伝うとき、彼女が携行食とかしか食べないのを見て、度々食事を作ってあげたこともあり自然と身についていった。
こっちに来てから作る機会もなかったから明日にでもお礼に楯無さんに振る舞うのもいいかもしれない。
翌朝、早めに起きた僕は部屋を抜け出して束さんと連絡を取った。
『んにゃ〜、久しぶりに連絡してくれたと思ったらこんなに早い時間に。束さんはおねむだよ〜』
寝ぼけてるのかいつものテンションがない束さんだけどむしろこちらとしては話しやすくて好都合。
「えっ
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