暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
A's〜オリジナル 日常編
47話:士の2月13日の出来事
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てないから」
「で、でも…私勘違いして…」
「だから気にしてないって。別に君が気に病む事じゃないよ」

俺はそう言って頭を撫でる。妹さんは少し恥ずかしそうにしながらこちらを見てくる。

「こっちこそごめんな。お母さんを怪我させちゃって」
「大丈夫よ。そこまで怪我をしたって訳じゃないから」
「それはよかったです」

ほら、と妹さんの背中を押してやって、クイントさんの元へ行かせる。
やって来た妹さんの頭を撫でるクイントさんと、笑顔を向けるお姉ちゃん。

(これが“家族”なんだ…)

そうしみじみと三人を見ていると、視線に気づいたクイントさんが、こちらに目線を向けて来た。

「ねぇ、少し聞いてもいいかしら?」
「はい?」

それは唐突に、投げかけられた言葉。

「あなたは…あんな怪人達と戦ってて、怖くなったりしない?」


















どうしても、知りたかった。

「あなたは…あんな怪人達と戦ってて、怖くなったりしない?」

彼が戦っている映像を見て、確かにすごいとは思った。
だが同時に、何故九才の子供がこんな戦いをしているのか、どうしてもわからなかった。

「怖くない…?」
「そう。あなたは戦う時どう思っているのか…どうしても知りたいの」
「そう、ですか……」

そう小さく呟く彼は、表情を暗くした。
どうかしたのか、と聞く前に彼はドカリと腰を下ろした。

「……正直言うと、めちゃくちゃ怖いです」
「…そう……」
「戦いの中で俺は死ぬかもしれない。もしかしたら、俺の大切な人達が奴らの手にかかるかもしれない。そう考えると、怖くて仕方ないんです」

ちびちびと愚痴を漏らすように言葉を発する彼の姿は、さっきまでの物とは比べ物にならないぐらい、頼りなく見えた。
おそらく、誰にも話せていなかったのだろう。少しずつ言葉を選びながら、彼は続けた。

「だけど…俺が戦わないと、多くの人が被害に遭う。そんなの、俺は嫌です」

(だから戦う、か……)

この子も、不安なんだ。
大切な物を失うかもしれない。そんな事を考えて、戦っているのか。

(最近の子供は、色々な物を抱え込み過ぎだわ…)

我が娘もしかり、彼もしかり…リンディ提督の息子さん、クロノ執務官だって父親を亡くしているのに、次元世界の為に戦っている。
ついこの間の二つの事件だって、事件解決に導いた主な人物はほとんど子供だった。

本当は、大人がしっかりしないといけないのに……

「じゃあ、もう一つ質問。いいかしら?」
「…なんでしょう」

少し気持ちを切り替えて、改めて知りたいことをもう一つ聞く。

「あなたは、何の為に戦っているの?」


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