暁 〜小説投稿サイト〜
誰が為に球は飛ぶ
青い春
拾 やもめの憂鬱
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2人で暮らすというのは玄道自身が嫌だった。多分真司も嫌だろうが。

結局、真司の生活費は全負担するが、別々に暮らすという事にした。一緒に暮らすという負担さえ無ければ、独り身で無駄に溜まっていく一方の金を消費してくれるのは玄道にとってはむしろありがたかった。真司も、少年の割には随分生活力があるようで、一人暮らしに不自由はしていないらしい。

「しかし…お前が居れば、しっかり面倒も見てやったんだろうな。」

玄道は自室に飾ってある一枚の写真を見た。
玄道と共に、一人の女性が写っている。
ミドルショートの髪、色白の肌、隣の仏頂面の玄道とは対照的に、優しく笑っている。

この女性は、玄道が最後に一緒に暮らした他人。今は死に別れてしまった伴侶。
碇唯その人である。

「唯…」

真司について考えた時にこの写真を見ると、心なしかその笑顔が苦笑いに見える。
親戚の少年一人の面倒も、金をよこす事でしかみることができない自分に、玄道はため息をついた。











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