五幕 硝子のラビリンス
3幕
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はGHSを取り出し、断りを入れて輪を抜けて電話に出た。
電話は10分ほどで、ルドガーは戻って来た。
「ジュードからだった。トリグラフでも目ぼしい情報はなかったって」
「アスカも違ったのに……じゃあ、どこを探せばいいんでしょう」『ドン詰まりだよ〜』
「ただ、一つ気になる噂を聞いたって。『ヘリオボーグの先の荒野で、髪の長い、女みたいな精霊を見た』っていう」
「髪の長い精霊?」『まさかミラ!?』
驚くエリーゼとティポとは裏腹に、エルは小首を傾げる。
「ミラ? だれ?」
「私たちと一緒に旅をした方ですよ。ミラ=マクスウェル。その名の通り、精霊の主マクスウェルその人です。真偽はさて置き、有力情報に違いありません」
ルドガーは肯いた。フェイの傍らにしゃがんでいた仲間たちが次々立ち上がる。
「先に行っててください。フェイの手当てをしたらすぐ行きますから」
エリーゼの言葉に、フェイはぎょっとしたようだった。
浮かぶのは怯え。置き去りにされたくない、心許した人たちと常に足並みを揃えていたい、とフェイの表情は訴えていた。
「いいよ、エリーゼ。これくらいガマンできるから。それより早く次に行ったほうがいいんでしょう。フェイはヘーキだから、行こう」
「ヘーキなわけないでしょ!」
エルがフェイに詰め寄った。強気に睨むエルと、フェイは目を合わせようとしない。
「ケガしたらちゃんと休む! ムチャして追っかけて来たら、お姉ちゃん、ショーチしないからね!」
メンバー最年少のエルが威張っても迫力はないのだが、唯一「妹」であるフェイには効いていた。
フェイは飼い主に怒られた犬よろしく「わかった」と肯いた。
「絶対絶対、先に行っちゃヤだからね。置いてかないでね」
「うん。約束」
エルと指切りをして、ようやくフェイは安堵を浮かべた。
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