第三章
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?」
「それで御前はな」
俺自身のことを話してからだ。女房にも言った。
「名前と顔を変えた」
「今の私になってるっていうの」
「ああ。そうなってないか?」
こう女房に尋ねた。
「何かな」
「そうかもね」
女房もだ。それを認めてきた。
「私もね。昔の整形外科医の私じゃなくて」
「今の御前になってるよな」
「そうね。詐欺師にね」
なっていると。女房は自分で言った。
「なってるわよね」
「俺はあいつになってな」
そしてだ。元の俺のことも言った。
「医者じゃなくなってるな」
「完全にね」
「もう俺じゃないんだな」
俺は自分でもしみじみとした口調になっているのがわかった。その言葉を出しながらだった。
「あいつになってるんだな」
「私もね。別人になってるわよね」
「犯罪者にな」
そのこともだ。二人でわかった。
「なってるんだな」
「そういうことね。あいつを殺してから」
「ああ、それからな」
「私達は私達じゃなくなったわ」
「完全にな」
「なってしまったわね」
俺達はそのことをだ。今わかった。俺達はもう医者じゃない。詐欺師だ。俺達を騙してくれた心の底から憎い奴になっちまった。そして。
その詐欺師として生きていくしかないこともわかった。それもだ。忌々しいがそうするしかなくなった。それが今の俺達だった。
YOU ARE A REPLICANT 完
2011・2・4
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