暁 〜小説投稿サイト〜
YOU ARE A REPLICANT
第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初
?」
「それで御前はな」
 俺自身のことを話してからだ。女房にも言った。
「名前と顔を変えた」
「今の私になってるっていうの」
「ああ。そうなってないか?」
 こう女房に尋ねた。
「何かな」
「そうかもね」
 女房もだ。それを認めてきた。
「私もね。昔の整形外科医の私じゃなくて」
「今の御前になってるよな」
「そうね。詐欺師にね」
 なっていると。女房は自分で言った。
「なってるわよね」
「俺はあいつになってな」
 そしてだ。元の俺のことも言った。
「医者じゃなくなってるな」
「完全にね」
「もう俺じゃないんだな」
 俺は自分でもしみじみとした口調になっているのがわかった。その言葉を出しながらだった。
「あいつになってるんだな」
「私もね。別人になってるわよね」
「犯罪者にな」
 そのこともだ。二人でわかった。
「なってるんだな」
「そういうことね。あいつを殺してから」
「ああ、それからな」
「私達は私達じゃなくなったわ」
「完全にな」
「なってしまったわね」
 俺達はそのことをだ。今わかった。俺達はもう医者じゃない。詐欺師だ。俺達を騙してくれた心の底から憎い奴になっちまった。そして。
 その詐欺師として生きていくしかないこともわかった。それもだ。忌々しいがそうするしかなくなった。それが今の俺達だった。


YOU ARE A REPLICANT   完


                    2011・2・4

[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ