第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二章
とにかく俺達はあいつを殺すことにした。そしてそのうえであいつに成りすます。そうして証拠も何もかも消して疑われないことにした。
その際だ。俺達はもう一つトリックを仕掛けた。
俺を行方不明ということにした。恋人がそれを出してくれた。
俺達の国のアメリカは年間百万人も行方不明になっている。旅行先で行方知れずになった。そういうことにした。
この辺りは思ったよりも簡単に話が進んだ。とにかく行方不明者が多い国だ。しかもこれであいつは油断した。俺が怨んでいることは向こうもわかっていたからだ。
それで仕組んでだった。俺達はあいつの立派な家に忍び込みあいつが帰ったところで。後ろから羽交い絞めにしてクロロフォルムをかがせた。
それから首を締めて殺して死体も殺しに使ったロープも硫酸で溶かした。骨がまだ残っていたがそれは粉々に砕いてだ。あちこちにばら撒く様にして捨てた。
それで証拠を完全に消した。そして俺は完全に成りすました。
恋人もだ。行方不明ということになってだ。顔を変えた。自分の顔も整形したのだ。
それからだ。俺達は結婚してだ。成りすましをはじめた。
あいつの家に住んでだ。笑いながら話した。
「上手くいったな」
「そうね」
笑顔でだ。俺達は話し合った。
ただしだ。ここで問題があった。
「あいつ、詐欺師だったけれどね」
「それはどうするんだ?」
「幸いどの悪事も有罪にはなってないわ」
そこまで周到な奴だった。苦々しいまでに。
「あの弁護士もいたしね」
「そうだよな。けれどな」
「私達詐欺については知らないじゃない」
知らないから騙された。俺も恋人、今は女房になっているこの女もだ。
「だから。詐欺師になるのはね」
「止めた方がいいよな」
「ええ、そう思うわ」
俺達はこう話していった。
「それはね」
「そうだな。じゃあ仕事は」
「医者でいいじゃない」
女房の提案はこれだった。
「私もね。整形医でいくから」
「そうだよな。俺達は医者だしな」
「それでいいじゃない。それじゃあね」
「ああ、そうするか」
「医師免許についてもどうでもなるわ」
「あいつ医者だったっか?」
「偽造するのよ」
それだった。それで誤魔化すというのだ。
「それでね」
「医者として再出発か」
「そうしない?」
女房は俺に判断を問うてきた。
「私達それで」
「そうするか?」
俺もだ。それに傾いた。
「俺達やっぱり医者だしな」
「だからね。それで生きていきましょう」
「そうだな。それじゃあな」
こうだ。気軽に答えた。しかしだった。
すぐにだ。あいつの顧問弁護士だった奴が来てだ。俺達にこう言ってきた。
「今度の話はな」
見るからに胡散臭い奴だった。裁判の時に見
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ