フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十八話 余裕がない心
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こと。目標地点と思しき天蓋に近づくにつれ守護騎士たちの数も比例して増えていく。一体一体の強さはさほどのものでもない。だが、たいした実力がない者でも数が集まれば厄介極まりない。
「(まさしく数の暴力だな)」
もはや呆れるしかない。そして、よくこんな嫌がらせなもの造るものだ、と逆に感心してしまうソレイユ。キリトとリーファが何か言い合いをしているが、そんなことよりこれからのことを考える方が大事だった。
「(はぁ・・・厄介だなー)」
レジェンド・クエストが可愛く見えるな、と心の中で呟くと階段近くにあった世界樹の根に背中を預けながらため息を吐く。
「(あれじゃ、いくらおれとシリウスでも攻略は難しいな)」
SAO内でのトップ5に入る実力者であるソレイユとシリウスが組めば大抵のクエストは難なくクリアできるだろう。だが、先ほどの世界樹攻略だけはどう考えても攻略法が思いつかない。それでも決して無理と言わないのがソレイユである。何か策はないか、と考えていたところでリーファの掠れる声がソレイユの耳に入った。
「・・・お兄ちゃん、なの・・・?」
「え・・・・・・?」
初めはリーファが何を言っているのかわから無かったキリトだったが、リーファの顔を見つめると音にならないような声で囁いた。
「――スグ・・・直葉・・・?」
その言葉を聞いたリーファはよろめくように数歩下がる。
「・・・酷いよ・・・あんまりだよ、こんなの・・・」
首を左右に振りながらうわ言のように呟くとウインドウを開いてログアウトしていった。そこに残されたのは呆然とした様子のキリトだけだった。
「なにがあったんだ?」
「それが・・・」
キリトから簡潔に事情を聞いたソレイユは真剣な表情でキリトのことを見据えながら口を開いた。
「まぁ、だいたいのことはわかった。そんで、お前はこれからどうするの?」
「どうするって・・・」
「アスナを助けるためにもう一度あれに挑む?それともリーファのことを慰めにいく?」
「・・・・・・」
言葉がでないキリト。そんなキリトにソレイユはさらに言葉を続けた。
「まぁ、どっちにしろ、お前がなにしようとおれには関係ないんだがな」
そう言い切ったところで唐突にユイの声が響いた。
「どうしてにぃにはそんなに冷静でいられるんですか!?あそこにはママだけじゃなく、ねぇねもいるんですよ!?」
瞳に涙を浮かべながら怒ったように言うユイにソレイユは言い聞かせるような声色で口を開く。
「ユイ、おれが言いたいのはそういうことじゃないんだ。そりゃあ、おれだって早くルナ会いたいと思ってる」
「だったら、何でそんなに冷静でいられるんですか?」
「ああ、それはきっと―
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