第六十二話 十二時の決戦その十
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「いなかったな」
「じゃあここで、ですか」
「これまで出て来た剣士は十二人だ」
丁度今グラウンドにいる数だ。
「つまりいるのはだ」
「後一人、ですね」
「最後の一人だ」
工藤は言う。
「その最後の一人の力か」
「そうなりますね、やっぱり」
「何処だ」
工藤は蝶達の他に周りを見回しだした、そのうえで最後の剣士を探しはじめた。
高橋も他の剣士達もだ、加藤はその剣を手にして言った。
「これで十三人揃うんだな」
「そうだな、これで全員だ」
これまで彼の相手をしていた権藤も言う。
「都合のいいことにな」
「それはな、しかしこの蝶達は何だ」
「蝶だけではないな」
「何?」
「見るのだ」
権藤がこう言うとだった。
蝶達の他に花びら達が出て来た、それは熱帯の極彩色の花の花びらだった。
その花びら達が舞いそして。
その花達は全裸の女達になっていく、蝶も同じく。
その女達が剣士達を笑顔で囲もうとする、しかしどの剣士達も美女達の動きに本能的に危険を察したのだった。
全員それぞれの力を使い美女達を消しにかかる、再び炎や水が炸裂する。
中田は炎を己の周りに蛇が唸る様に動かして美女達を防ぎながら上城に対して言った。
「一時中断ってことでな」
「そのうえで、ですね」
「ああ、ここはな」
こう言うのだった。
「まずはこの連中を何とかしないとな」
「はい、そうですね」
上城も同じだった、ここは。
その剣を軽く一閃させた、すると。
その周りに無数の氷の刃が出た、それで美女達を貫いていく。
貫かれた美女達がそのにこやかな表情を変えることなく霧の様に消えていく、そうして美女達を倒したのである。
そのうえでこう中田に言った。
「こうして」
「ああ、けれどな」
「何ですか、今度は」
「君は氷も使える様になったんだな」
今出しているその氷の刃を見て言った言葉だ。。
「そうなんだな」
「あっ、そうですね」
「水の温度を氷点下にすればな」
「氷になりますからね」
「考えれてみれば氷も水だしな」
「はい、今使える様になりました」
丁度今だった。
「どうも僕はまた術を使える様になったみたいですね」
「そうみたいだな、それでな」
「はい」
「このお嬢さん達ちょっとおかしいな」
青い炎の蛇を己の周りで派手に舞わせながら言う、それはまさに炎龍であった。
「どうもな」
「確かに。寄ってきますけれど」
「攻めて来ないな」
このことを察したのである。
「妙だな」
「しかも攻撃を受ければ」
消える、霧の様に。
「まるで幻みたいだな」
「幻、ですか」
「まずいな、さっきの君との戦いに加えてな」
これでもうかなりの力を使っていた、しかもだ。
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