第六十二話 十二時の決戦その七
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
乱戦に入った、皆それぞれの力を出す。
炎が舞い水の柱が次々と起こる、木の葉が無数の刃となり荒れ狂う。
光が瞬き魔が覆う、大地が裂け重力も金も炸裂する。
風が刃になり雷が飛ぶ。熱に闇も。
その中で中田は彼を見た、そして。
その正面に来てそのうえで言った。
「じゃあな」
「今からですね」
「手加減は出来ないけれどな」
彼と上城の実力を考えればだった、そうすれば中田自身がやられる。
だがそれでもだと、彼はこう言うのだ。
「死なせはしないからな」
「僕をですか」
「出来る限りになるけれどな」
だがそれでもだというのだ。
「ある程度は安心してくれよ」
「僕は貴方を止めます」
上城はその中田にこう返した。
「そうしますので」
「そうか」
「はい、それでなんですけれど」
「ああ、じゃあな」
二人で話す、そして。
同時に構えに入った、中田は二刀を持っている。
上城は一刀だ、お互いの構えから。
それぞれの力を剣に宿らせ突進し合う、それから。
剣と剣をぶつかり合わせた、すると。
炎と水がぶつかり合い凄まじい蒸気が起こった、それは剣と剣が打ち合う度に起こりその場を飾っていた。
その中で中田はこう上城に言った。
「腕を上げたんだな」
「戦ってきましたから」
上城も中田に返す。
「ですから」
「戦いたくなくてもな」
「怪物達はいいですが」
中田の右の突きを剣で横に払う、そして言った。
「人と戦うことはどうしても」
「嫌だよな」
「今もです」
決意している、しかしその決意は堪えているものだ。
それで彼はこう言ったのである。
「こうして中田さんと闘うことも」
「これは試合じゃないからな」
「剣道は人を生かすものですよね」
「そうだよ」
中田もそうだと返す。
「俺だってそうだと思ってるさ」
「自分の心の弱さを打って」
「そうするものなんだよ、けれどな」
「それでもですね」
「俺は生き残るさ」
絶対にだというのだ。
「何があってもな」
「そうですか、じゃあ」
「俺を止めたいのならそうしてくれよ」
こう答えそしてだった。
今度は左の突きを出した、その時に。
上城はその剣から水を思いきり出した、それで巨大な水の柱として。
その左の剣を止めるだけでなく中田も吹き飛ばそうとする、水圧によって。
しかしここで中田も反撃する、その炎を消された右の剣から。
あらためて炎を出す、そこに新たに左の剣を添えて二刀で向かう、力と力のぶつかり合いになった。
距離は数メートルに開いていた、力を出すことが遅れた中田が押されたからだ。だが今では両者は拮抗している。
その力を出しながら、中田は言った。
「本当に強くなったよな」
「それ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ