第一章
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第一章
ハートイズガン
俺は遂に手に入れた。それをだ。
ピストルだ。それを遂に買った。
思ったより安かった。ガンショップで普通に売っていた。
黒くてずっしりとするそれをはじめて手に取ってだ。俺はだ。
まずは俺のフレンズに銃を見せた。見せびらかした。
それでだ。こう言うのだった。
「なあ、凄いだろ」
「ああ、ピストル買ったのか」
「そういえば許可証貰ったんだよな」
「前そんなこと言ってたよな」
「ああ、そうだよ」
こう答えてだ。そうしてだった。
俺はだ。またフレンズに言ってやった。
「遂にな。買ったんだよ」
「それで俺達に見せに来たのか」
「そのピストルを」
「そうしたんだな」
「ああ、これさえあればな」
俺は得意になってだ。心の奥底から笑って話した。
「何でもできるな」
「だよな。強盗もできればな」
「気に入らない奴をぶっ殺すこともできる」
「ピストルさえあればな」
「何でもできるからな」
フレンズもだ。こんなことを言ってきた。実際にそんなことをすれば一発でムショ行きだがそれでもだ。俺達は笑ってこんな話をした。
「ピストルさえあったら」
「怖いものなんて何にもないな」
「スクールで撃ってみるか?」
フレンズの一人がここで物騒なことを言い出した。勿論ジョークだ。
「そうしたらニュースに出るぜ」
「おお、やるか?」
「それいいよな」
「どうだよ、それ」
「有名人になって来いよ」
他のフレンズもだ。俺に言ってきた。そのピストルを買った俺にだ。
「気に入らないティーチャーの足元に撃てば面白いぜ」
「ティーチャーマイヤーなんてどうだ?」
「あのオールドミスな」
もう四十を超えてるのに今もシングルのティーチャーだ。痩せぎすの眼鏡の顔にヒステリックな性格をしている。シングルなのもわかる人だ。
そのおばさんの足元にだ。撃ってみたらどうかというのだ。
「どうだよ、それ」
「あのおばさんきっと騒ぐぜ」
「それこそ頭が燃えたみたいにな」
「そうなるぜ」
「そうだな。それも面白いな」
俺はジョークで応えた。実際にそれも悪くないかなんて馬鹿なことを考えた。何かピストルを持って色々と考えちまう。それが今の俺だった。
「銀行強盗も悪くないしな」
「だよなあ。本当にピストルがあったらな」
「もう無敵だよな」
「一発で気に入らない奴を天国に行かせられる」
「便利なおもちゃだよ」
そうだった。本当に便利なおもちゃに思えた。
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