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少女1人>リリカルマジカル
第四十六話 少年期【29】
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シアも心の中で諦めていたんだと思う。

 だけど、母さんはずっと諦めずに考えてくれた。幼かった子どもの願いを真剣に考えて、そして母さんは答えを出してくれていたんだ。


「この子が私たちの新しい家族。そして、……2人の妹よ」

 リビングに恐る恐る入ってきた子は、俺たちの視線に気づき、サッと母さんの足元に隠れてしまった。そしてこちらが気になるのか、隠れながらこちらを窺っている。

 栗色の髪と不思議そうに俺たちを見つめる瞳。おそらく2歳ぐらいの子で、俺たちの腕にすっぽりと入ってしまうような小柄な少女である。そして何よりも最大の特徴は、人間の耳ではなく、大きな獣耳を持っていることだった。

「もしかして、使い魔?」
「えぇ、正解よ。使い魔については学校で習ったかしら」

 突然のプレゼントに呆然としていたが、この子の耳で俺はようやく事態を掴めてきた。母さんの質問に俺は首肯し、原作の知識と授業で習ったことを思い出してみる。

 使い魔とは、術者が目的のために作り出す命だと学校で習った。俺が知っているのは、原作で出てきた猫姉妹やアルフさん、そしてリニスさんだ。猫姉妹はわからないが、アルフさんはフェイトさんの「ずっと一緒にいてほしい」という願いとともに生まれた。そしてリニスさんは、アリシアを蘇らせるために、フェイトさんの教育係として生まれた。

 言い方は悪くとも、使い魔は主人の願いを叶えるための人工生命体なのだ。これが次元世界での認識となっている。それでは乱用する人物が増えるのではないのか、と思ったが、使い魔を作るのは簡単なことではない。

 まず生成呪文が使える魔導師が少ない。そして作ったとしても、それを維持する限り自身の魔力を消費し続けてしまう。魔力量が多くなければ、使い魔を維持するだけでガス欠になってしまうのだ。高度な使い魔ほどそれは顕著である。だから目的を限定して、用がすんだら解除するのが普通の使い方となっていた。

 正直、それを学校で習った時はあまりいい気分ではなかった。それでは使い魔は、本当に使い捨ての道具みたいな扱い方だからだ。原作では、フェイトさんやグレアムさんのように、使い魔を家族のように大切にする人がいたから余計に。でも、原作の母さんとリニスさんの関係を考えると、あれが本来の使い方だったのだろう。

 ……使い魔の作成には、死亡の直前か直後の動物の肉体をよりしろに、魔法で生成した人造魂魄を宿らせる必要がある。アリシアがヒュードラの事故で亡くなった時、リニスも一緒に逝ってしまった。母さんはその時、リニスを使い魔として契約させたのだろう。そう考えれば、母さんが今使い魔技術を使えるのは、おかしなことではない。


「コーラルとリニスにも、色々手伝ってもらっていたの。使い魔を作成すると決めてからは
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