第二章
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第二章
「さようなら」
「えっ!?」
何を言ってきたのか。わからなかった。それでだ。
彼女に問い返す。自分でも驚いた顔になっているのがわかる。
白い砂浜の上で僕達は向かい合っていた。そうして話していた。
「今何て!?」
「だから。さようなら」
無表情で。僕にまた言ってきた。
「さようなら。またね」
「意味がわからないよ」
思わずこう言ってしまった僕だった。
「さよならって。どうして」
「理由は言わないわ」
素っ気無い言葉だと思った。この時は。
彼女はその素っ気無さでだ。僕に言うのだった。
「けれど。もうね」
「理由を言えないって」
「何かあるの?」
「無茶苦茶じゃないか」
こう言ってだ。僕は言い返した。
「そんな別れ方ってないじゃない」
「そうかもね。けれどね」
「別れるっていうんだね」
「そうよ。だからね」
僕を振り切る様にして背を向けて。背中越しに。
最後の言葉をだ。僕に言ってきた。
「さようなら」
「・・・・・・・・・」
僕は何も言えなくなった。彼女はその僕に背を向けたまま去っていった。後に残った僕は彼女のその背中を見送ることだけしかできなかった。
その別れまで思い出した。思い出すと。
それだけで泣きそうになる。どうしようもなく。
その砂浜を歩いて。それからだった。
僕は家に帰った。そしてアルバムを開いて自分の家の中でも二人の思い出に浸っていた。その僕にだ。
友人の一人がだ。こんなことを言ってきた。
「御前前あの娘と付き合ってただろ」
「ああ、どうしたんだ?」
「あの娘今日本にいないってさ」
こう僕に言ってきた。
「イギリスにいるってさ」
「イギリスに?」
「ああ、イギリスにな」
その国にいるとだ。僕に言ってきた。
「去年からな」
「去年からって」
僕はすぐにわかった。それは。
彼女が僕と別れたその時だ。その時からだというのだ。
つまりだ。その別れた理由は。
「家の仕事の関係でな。どうしてもだったらしいんだよ」
「それで今あの国にか」
「ああ、イギリスに行ったんだよ」
そうだというのである。
「暫くっていうか何年も帰られないらしいな」
「そうだったんだ」
「仕方ないよな」
友人はだ。首を少し捻って僕に話してきた。
「それもな」
「イギリスなら」
「色々と思ってただろうな」
こんなこともだ。僕に話してきた。
「日本にいたかったそうだし」
「だろうな。そういう事情だったんだ」
「そういう事情?」
友人は僕の今の言葉にだ。ふと言ってきた。
「何だよ、急に」
「あっ、何でもないよ」
彼が言ってきたのに気付いてだ。僕はすぐに自分の言葉を打ち消した。
そうしてだ。こう
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