水賊頭、戸惑う
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た警戒が、何故か少し薄れていくのを感じながら、俺は質問を続ける。
「んでよ、村だか街だかしらねぇが、とにかく次の場所はどっちか教えてほしいんだけどよ……どの方角に行きゃあいい?」
「……あっちだ。街の名前は《ホルンカ》―――」
「お、ありがとな! ……そんじゃあな!」
方角さえ分かればこっちのもの、俺は男がさした方向に俺は全速力で走りだす。風を切るような感覚を受け、改めて兄貴の強さを実感した。
「いっくぜぇぇえ!!」
「……は、速ぇ……本当にニュービーかよ……」
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「キシャアア!!」
「邪魔だあぁっ!!」
「ジェアアッ!?」
「オラオラオラァ!!」
俺は突っ走りながら剣を振り回す……無双で言うダッシュ攻撃で、モンスター共を蹴散らしていく。やってみて分かった事だが、こっちがある程度離れりゃ、向こうも追ってはこなくなる。
それに、一撃当てて倒せなくとも怯んだり気絶したりはする様で、その隙にそばを通り抜ける事が出来た。しかしこれを行う度に、何故か甲刀が赤い焔を纏うのだが、今は気にせず走り続けた。
「お、アレがポルカってとこだな!」
やっと街が見えてきてホッとする。サッサと入っ一息つきてぇもんだ。
だが、そんな上機嫌な俺の耳に、煩わしい音が聞こえてくる。それは人の立てる足音じゃない事は、同時に聞こえる唸り声で検討が付いていた。
「ちっ……俺ぁさっさと街に行きてぇってのに……!!」
俺が文句垂れると同時に、狼の様なモンスターが数匹現れた。俺は先手必勝とばかりに一番先に現れた狼に、三連続で甲刀を斬りつけ、最後に四つ目で切り裂いた。
「オラどうだ!」
「キャウゥウン……」
犬みてねぇな声を無視して、次の狼に斬りかかる。と、不意に飛んできた別の狼を蹴っ飛ばし、邪魔すんじゃねぇとブッさして放り投げた。
「ギャウ!?」
「ギャン!?」
「ガウウゥ!」
「はっ、三匹並びやがったな!」
待ってましたと言わんばかりに俺は甲刀を振りかぶり、剣を左右に振り回しながら前方にダッシュする……無双でいうC1攻撃だ。走りながら振っていたのとはまた違う感触の焔を纏った甲刀に、四回薙ぎ払らわれた狼共は悲鳴と共に砕け散った。
「はっ! どうよ!」
俺はすっかり兄貴になった気分で(つっても姿も声も兄貴と同じだが)甲刀を担いで顎をしゃくる。
「さーて……そんじゃ、街に入るとするか!」
大股で歩きながら、俺は名前をよく覚えていない次の街へと入って行った。
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