紅蓮金色、竜が舞う
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手がどれほどの地位にいる人間でも。
相手がどれほどに強い魔導士でも。
何十人を殺した魔物、殺人鬼、世界最強の武器を持った人間―――全てに恐怖を覚えない氷の女王は。
「・・・ぃ・・・ぁ・・・」
目の前の死に。
自らを犠牲に己達を守り抜いた男の死に。
目の前で一瞬にして奪われた1人の男の命に。
「・・・ぃゃ・・・」
―――――――恐怖していた。
「!?」
背に寒気を感じ、ジェラールは辺りを見回す。
寒気の正体はエルザではない。シモンでも、ナツでもなく。
「まさか・・・!」
エルザの後ろに呆然と立つ、ティア。
目を見開き、体を震わせ、言葉にならない声を紡ごうとして、零す彼女。
(死んだ・・・私の前で・・・また・・・人が・・・!)
ぐるぐると。
メビウスの輪のように。ウロボロスのように。
彼女の中で、同じ言葉が繰り返される。
(また・・・人が・・・死んだ・・・私の・・・私の前で!)
その瞬間―――――――。
ティアの脳裏に、1つの映像が、流れた。
―ティア・・・ちゃん・・・ゴメン・・・ね―
春を思わせる暖かい色の髪。
漆黒の、強い意志の篭った目。
否―――弱々しく、今にも閉じそうな目。
それを見たティアの目が更に見開かれ――――
――――――その青い目から、一筋の、涙が流れた。
(イオ、リ・・・さ―――――――)
その女性の名が頭をよぎった瞬間――――。
「ィ・・・イヤ・・・イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
空に向かって、冷静なる女王の咆哮が、響いた。
「ティ、ティア!?」
背後から聞こえてきた叫びにエルザが振り返り―――驚愕した。
彼女のワンピースのスカートとレースアップブーツの間の脚に。
ノースリーブのワンピースから覗く肩に。
その頬に。
突如―――――鱗のような模様が現れた。
「アアアアアアアアアアアッ!!!」
それと同時に、膨大な魔力が一気に溢れ出す。
魔水晶の床から魔力が溢れ、その魔力はティアに流れ込んでいく。
(ありえん!まさか・・・シモンの死に反応して・・・ここにあるエーテリオンの魔力を吸収して・・・目覚めたというのか!?)
その姿を見るジェラールの目が見開かれる。
(かつて、その膨
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