洛陽にて
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さらに威圧をかけておくべき。怒りの矛先を私たちにも向ければ少しは七乃の負担も軽くなるだろう。
「……構わないわ。私たちの軍が代わりに出ましょう」
柔らかく言ってはいるがその心までは隠せていない。
無様。力がなければ英雄と言っても所詮飼い猫。首輪付きには抗う術もない。
ここでもう一人の英雄にも無茶を押し付けられるけどどうしようか。
……今回はこのくらいで抑えておいてもいいかもしれない。
「決まり。それぞれの軍の時間帯は孫策軍以外昨日と同じ。本初」
「ではこれにて今回の軍議を終わりますわ。いいですの皆さん。最後は雄々しく美しく、華やかな決戦で幕を閉じましょう! おーっほっほっほ!」
麗羽、私はたまにあなたのそれが演技じゃなくて本気かと疑ってしまう。
見回すと最後に一人だけ携えた笑みをより一層深めた人物と目が合った。
あの女は……気付いていたのか。わざとこちらに目を合わせたのは警告。全て分かっている、と。自分は分かっているのだから後々本気で来いという挑発とも取れる。
しくじった。今回は無茶を押し付けておくべきだった。麗羽の演技が長くなり、あの女に話が向けられる事で違和感を覚えさせてしまう不安を感じた私の失態。元から気付いていたなら話は別だったのに。
これからこの女だけは最大限に警戒しないといけない。今までよりもさらに。麗羽の一番の壁となる敵。
それと同時に覚悟を決める。その意を込めて目を細めて相手を見つめる。
曹孟徳。私達はあなたを越えるから首を洗って待ってるがいい。
見返された瞳は決意の瞳。
彼女は王佐。私が求めてやまない愛する敵。
欲しい……
内に広がる欲望はとどまる事が無い。
全てを賭けて戦い、打倒して、ひれ伏させ、そして私のモノにしたい。
ふいと視線が逸らされ彼女は麗羽とともに席を離れてしまった。
「華琳様?」
しばらくそのままでいた私に掛けられた声は私の王佐のモノ。
「……陣に戻りましょう桂花。それと明日の準備の指示が終わり次第私の天幕に来なさい」
「は、はいっ!」
嬉しそうな声。本当に可愛らしい。
でも今日は駄目よ桂花。今日はまだ我慢しなさい。
私がこの戦で我慢しているように。
まだ青い実が熟すのを待つように。
きっと手に入れた時の喜びはより大きなものでしょう。
その時がきたなら、奪ってあげる。
私のために、あなたのために。
「雪蓮」
「大丈夫よ冥琳、分かってるわ。今はまだ耐える時。そのために蓮華を残してきたんだから」
己が計画は着々と進んではいるが、じりじりと嫌らしく、少しずつ邪魔もされている。その事に苛立ちを覚え帰り道にて気が立っている私を心配してか冥琳から声が掛けられた。
本当は私自身もある種の見せ札
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