洛陽にて
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いてしまったのは偶然だった。
恋さんが寝ていたから私が息を殺して話を聞いている事には気付かなかったみたい。
私は……また守られるのか。
何もできずただ皆に助けられるのか。
今更自分が責任を取る為に立ってもこの大切な人たちの想いを無視してしまう。
かといって逃げ出しても自分の為に戦ってくれた人の想いを無駄にしてしまう。
どうすればいいの?
私には何が出来るの?
考えても答えは出ず一人寝室へと足音を忍ばせ歩く。
この胸を締め付ける痛みは罪であり罰だ。
ただ守って貰う事しかできなかった、何もしなかった自分への。
他人を頼る事しかしなかった自分には何も言う権利がない。
ただ助けたかっただけなのに。
苦しそうな、悲しそうな殿下を笑顔にしてあげたかっただけなのに。
乱れていく大陸に平穏を広げたかっただけだったのに。
ここに呼ばれた時点で私が傀儡にされるのはわかっていた。
それでも中から変えられると甘い夢を見ていた。
逃げられなかったから選択したんじゃなく自分で最後はここに来ることを選んだ。
どうしてもっと早くに自分から動かなかったのか。
どうしてもっと早くに決意を固めなかったのか。
私は親友の優しさに甘えていたんだ。
慕ってくれる人たちの想いに酔っていたんだ。
今更遅い。私が全て巻き込んでしまった。
きっとこの人達は何がなんでも私を助けてくれる。
私に今できる事は……その想いを受け入れることだけ。
せめて今を生きている大切な人達の気持ちを汲む事だけ。
でも私は……どうやってこれからを生きていけばいいんだろう。
†
今日は敵の旗が少なく、明日か明後日には決戦になる事が予想された。
緊急で開かれた軍議では各諸侯の攻城戦の順番の変更を行うか否か。
「いやなのじゃ! 妾の軍は明日からは攻城戦に出んからの! 兵達の犠牲が大きくなってしまうのはいやじゃ! 順番を回してきても良いが回ってきたとしてもぜーったいに出んからの!」
呆れてモノも言えない。いやこれが公路だから仕方ないか。七乃の笑みが少し濃くなってこちらと一瞬目が合う……ああ、そういうことか。
「公路殿、わがままはダメ。どこの軍も必死で戦っているのは同じ。ただ……代わりの軍が出られるならいいけど。どう思う、本初?」
「そうですわねぇ……孫策さんの軍が代わりに出ればいいと思いますわ。虎牢関ではわたくしの所の将があなたの軍を助けたそうですし聞いて頂けますわよねぇ?」
貸しをつけたのが上手く行った。しかし麗羽の演技は中々面白い。公路の事が可愛いから助けたいという本心もあるだろうけど。
麗羽の発言に周瑜と孫策の顔がわずかに歪む。
「連合総大将の命令だけど……拒否する?」
ここは
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