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乱世の確率事象改変
洛陽にて
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 桃香の言葉を皮切りに各自が与えられた仕事を終わらせるために動き始めた。
 心配そうに見つめてくる雛里に俺は大丈夫とコクリと一つ頷いて暗に伝えてから自分の今すべき事のために天幕を出た。

 †

「うっわぁ……えげつないこと思いつきますねぇ……」
「この策。使えるよ本初」
 それぞれの陣に戻っていたが急な呼び出しに再度集められ、劉備軍から提示された策は上策だった。
 足並みを無理に揃えなくてもいいこの作戦には利点がかなりある。
 連合の軍師達でさえ思いつかなかった事を徐晃が思いつくとは。
 発想力が他とは違う。シ水関の時もそうだ。あの男にはどんな世界が見えているのか。やはり興味深い。
「一日の六分の一しか攻めないようではいつまでたっても城なんて落ちませんわよ、元皓さん」
「……」
しかし、それに気付いていない麗羽のあまりの発言に天幕内に異様な空気が流れてしまい皆も無言になってしまった。
「……本初、あくまで一隊がの話。それが六つあったら一日中攻められる」
 田豊の言葉を聞き、いつものように大仰に驚いている麗羽に対して自分の意見も滑り込ませることにする。
「田豊の言う通り、そこまで間断なく攻められたら向こうもたまったものではないでしょうね。六つに分ける事で連合としての足並みを無理に揃える事がないから士気もあまり下がる事は無く攻められるでしょうし利点の方が多いわ」
 問題があるとすれば数か。有利とはいえいささか心もとない。相手が音を上げるのが先かこちらが折れるのが先かの根競べになるだろう。
「そ、そうですわね! では明日から始めて行きましょう」
 麗羽のその言葉によって締められ、連合全体での軍議はつつがなく終わった。帰ろうとしていた劉備と諸葛亮に声を掛ける。
「劉備、諸葛亮、ちょっといいかしら?」
「はい、なんでしょうか?」
「徐晃は先の呂布戦で怪我を負って倒れたそうだけれど大丈夫なの?」
 情報遮断は迅速だったが兵の士気低下防止策だけでは詰めが甘いわよ諸葛亮。劉備軍にとって三将軍の存在はあまりに大きいのだから情報の断絶くらい徹底しておくべきだった。
 それと……あの男を今あなたたちに使い潰されては困る。
「……動くのも戦うのも問題ないそうなのですが……どこか急いているように見えまして」
 どこまで答えていいか迷ったのか。最後の言葉はこちらがどれくらいの情報を掴んでいるか見るための揺さぶりか。
「急いている?」
「戦場にご自身で立ちたがっている、といった感じでしょうか。洛陽ではずっと前線から外れて貰っていますしどうにか抑えてくれているようなのですが」
 話す諸葛亮の表情も声も徐晃への心配以外の感情が見当たらない。どうやら揺さぶりではなくこちらの意見が聞きたいだけに見える。
 自身の体調も考えず無茶をし
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