会戦の幕開け
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だが、早く結果が知りたい。
苛立ったように机を指が叩き、ウィスキーを煽るが、満足に酔う事はできない。
ウィスキーの苦みと酒の強さが、今では不快に感じる。
さっさと上手い酒を飲みたいものだ。
写真を裏返しにして、ヘルダーは大きく息を吐く。
と、司令官室の扉が激しく叩かれた。
「なんだ」
こちらの声と同時に、兵士の一人が姿を見せる。
走ってきたのであろう、随分と息を切らせている。
その焦った様子に、ヘルダーは浮かびかかった笑みを必死で消した。
「何があった?」
「は、それが」
「どうした、はっきりといえ」
出来るだけ声を平たんにして、ヘルダーは答える。
さっさと金髪の小僧が死んだと報告しろ。
そう思いながら、睨みつけるように兵を見れば、兵士は息を整えた。
「はっ。敵の襲撃です!」
「な、何だと!」
ヘルダーは眉をあげて、呆然と兵士の声に答えた。
「何と言った」
「は。反乱軍の兵士が、こちらに奇襲をかけてきました。現在迎撃部隊が対応中ですが、敵の数も多く……」
「ぬう。わかった、指揮を執る。すぐにマーテル中佐を呼べ」
「はっ!」
兵士が再び走りだして、ヘルダーは苛立ったように机を叩いた。
まったく反乱軍も邪魔をしてくれる。
どうせならば金髪の小僧がいるタイミングで攻めてくれればいいものを。
そうすれば流れ弾にあたったとして、上手く殺すこともできたのに。
舌打ちを隠さず、ヘルダーは司令官室に備え付けられているモニターを付けた。
そこには群がる反乱軍の装甲車両を必死で迎撃する帝国軍の姿があった。
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