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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
白夜叉の送別会
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少し考えれば勝利できたじゃろうに。」

十六夜は落下していく僅かな時間に思考をめぐらせ・・・

「くそ・・・!!こんな簡単な勝利条件だったのか・・・!!!」

そう、本当はそこまで複雑なルールではない。
まず、季節を薫る花は、闘技場に捧げられている山梔子のこと。
そこから、季節は夏となり、夏には太陽は丑虎から戌亥・・・北東から北西に沈む。
よって、勝利条件はリングの北西方向に山梔子をさすことなのだ。

「当然だ。真に良質なゲームとは特別なものにしかクリアできないゲームではなく、誰にでもクリアできるものでなければならない。そう言う意味では、ゲームの全てを把握してから戦いに挑むなど、チキンプレイに他ならんわ!」

白夜叉は扇を掲げてそう言う。

「くそ・・・くそ、くそ、これじゃ格好がつかねえ・・・!!」
「なあに、これで一つ学習したであろ。何も死ぬわけではないのだから、次のゲームにいかせばよい。」

白夜叉は水面に舞い降り、十六夜のほうへと歩み寄る。
十六夜はそんな白夜叉に、苦々しい声音で告げた。

「・・・確かに、これからのゲームでは生かせるさ。でも、次の白夜叉のゲームでは生かせないんだろ?」

白夜叉は、十六夜の言葉に瞳を大きく見開いた。

そう、もう白夜叉のゲームを、短い一生しか送れない人間である十六夜が受けることは、出来ない可能性が高いのだ。
なぜなら、一度返却してしまった神格を再取得するには、数百年はかかるかもしれないのだから。

「事実上、これは俺たちと白夜叉の最終決戦なんだ。なのに俺たちがこんな負け方をしたんじゃ・・・とても、“下層は任せとけ”なんて、口が裂けてもいえないからな。」

白夜叉は、そんな十六夜の言葉に本気で動揺していた。
彼らが下層を去る白夜叉を安心させようとしていたのにそうすることも出来なかったとしり、初手必殺をしてしまったことに罪悪感を感じているのだ。
そして、二人の間に沈黙が満たし・・・ふと、十六夜は顔を上げた。
悪戯を思いついたような顔をした、問題児の顔を。

「ところで白夜叉・・・本当に、全員(・・)を落としたと思うのか?」
「は?何を・・・」

白夜叉は本気で拍子抜けしたように返すが、後頭部に走った衝撃で、バランスを崩す。

「鬼道流体術、流星。」
「×2、だ。」

そして、白夜叉の頭の上には、一輝とスレイブの膝があった。
要するに、二人係で跳び膝蹴りをしたのだ。

ちなみに、十六夜がみた一輝とスレイブは一輝の式神が化けた姿であり、本物の一輝とスレイブは水に乗って一気に上空に飛んでいたのだ。
少し考えれば、大剣が沈まないことに疑問を抱けたであろう。

「それに、敗北条件もないし、な!」

十六夜はそう言いながら、バランス
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