第百四十七話 死闘のはじまりその六
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「妙な話が多いですが」
「とりあえずは助かった」
「間もなく久助達が忍の者を率いて来ます」
また柴田が言ってきた。
「そして水軍も動きますので」
「では大丈夫じゃな」
「この城は、ただ門徒の武具のことは」
それはとだ、柴田も怪訝な顔で言う。
「殿にもお話しましょう」
「絶対にな」
「はい、必ず」
こう話してそしてだった、まずは城もそこにいる者達も救えたことをよしとした、そしてその夜にだった。
休んでいる一向宗の門徒達の大軍に夜襲が仕掛けられた、その夜襲は滝川と蜂須賀が仕掛けたものだ。
滝川は忍達を率いながらだ、こう彼等に命じていた。
「よし、よいな」
「はい、門徒達をですな」
「あの者達の陣に」
「攻め入ることはない」
それはしなくてもいいというのだ。
「しかしだ」
「敵陣に火薬を放り込みですか」
「そして火も」
「火と音を盛んにな」
出せというのだ。
「我等はそれだけでよい」
「よいか、敵陣には入るな」
蜂須賀も彼等に言うのだった。
「あくまで外から攻めよ」
「はい、わかりました」
「それでは」
忍達も二人の言葉に頷く、そうしてだった。
敵陣に近寄りそのうえで火薬を込めた弾を投げ込み音を立てる。それと共に火を点けそうして盛んに声を立てる。
「敵襲じゃ!」
「敵襲じゃぞ!」
「織田家の夜襲じゃ!」
「奴等が仕掛けて来たぞ!」
この言葉を叫んで回ったのだった、すると。
これまで寝静まっていた本願寺の門徒達は慌てて飛び起きて武器を持ち陣の外に向かおうとする、だがここでさらにだった。
陣の端に火が点く、それが燃え盛り。
それが門徒達をさらに慌てさせた、それを受けて。
本願寺の者達は右往左往した、ここで忍達がさらに叫んだ。
「敵が火を点けたぞ!」
「陣にまで攻め込んできたぞ!」
「大変じゃ!何とかせよ!」
「慌てるな!」
こう叫んで本願寺の者達を惑わしたのだ、この夜の中の不意の一連の仕掛けを受けてそうしてだった。
本願寺の者達は闇の中で互いに争いだした、暗がりの中で相手が誰なのかわからずにであった。
互いに切り合い突き合う、それはかなり大きくなってしまった。
彼等全体で一晩中殺し合った、そして朝になると。
倒れているのは本願寺の者達だけだった、彼等は互いに倒れている仲間達を見て唖然となっていた。そうして。
僧侶達にもだ、苦々しげにこう言った。
「しまった、織田家の策じゃ」
「外から仕掛け夜襲が来たと言ったか」
「まさかそう来るとはな」
「織田信長、恐ろしい男じゃ」
「こうしたことまでしてくるとは」
こう話すのだった、彼等はこの日はその始末だけでどうにも出来なかった。
城内では滝川と蜂須賀が信興の前に来ていた、
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