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戦国異伝
第百四十七話 死闘のはじまりその二

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「殿に似ておられます」
「そうじゃな、顔だけでなくな」
「だからですな」
「この度はあ奴に任せる」
 長益にだ、岐阜をだというのだ。
「それで御主も連れて来たのじゃ」
「そうですか」
「これからは御主にも戦の場に出てもらう」
 そうしてもらうというのだ、是非。
「特に本願寺との戦はな」
「わかりました、それでは」
「辛い戦いになるのは間違いない」 
 本願寺の大きさを考えればだ、二十二万の兵と八百八十万石の石高を誇る今の織田家でもそれは避けられないというのだ。
 だがそれでもだ、こう言うのだ。
「しかしじゃ」
「それでもですな」
「わしは勝つからな」
 平手にもこう言うのである。
「だからこそ御主の力も借りるぞ」
「この老いぼれでよければ」
 平手は歳を感じさせぬ確かな声で応えた、そこには幕府から来た者達も含めて織田家の諸将が揃っている。
 そして彼もだ、そこにいて言うのだ。
「そうさせてもらいます」
「頼んだぞ」
「さすれば」
 平手は信長に応える、織田家の大軍は岐阜からまずは尾張に下っていく。尾張に入ったのはすぐだった。
 だが、だ。信長は次々に入ってくる報を聞いてこう言うのだった。
「危ういな」
「はい、彦九郎様が」913」
「古木江城も」
 報を届ける忍の者達の言葉も険しい。
「城兵達も頑張っていますが」
「それでもです」
「急がねばな」
 信長は報を聞きながら述べた、そしてだった。
 ここでだ、彼は全軍に命じた。
「一刻の猶予もならぬ、それではな」
「はい、そうですな」
「それでは」
「足を速める、そしてじゃ」 
 柴田を見てだ、彼に命じることは。
「権六、御主は騎馬隊を率いてじゃ」
「はい、古木江城にですか」
「そうじゃ、先に進め」
 足の速い騎馬隊を率いてすぐにだというのだ。
「よいな」
「わかりました」
「そして本願寺の軍勢を見つけたら横から衝け」
「そうしてですな」
「そうして軍を慌てさせるのじゃ」
 城を攻める彼等をだというのだ。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「忠三郎もじゃ」
 蒲生にも声をかける。
「御主は権六の補佐を務めよ」
「畏まりました」
 蒲生も信長の言葉にすぐに応える。
「では」
「又左や内蔵助、鎮吉もじゃ」
 織田家の武に秀でた者達が次々に挙げられていく。
「今ここにいる全ての騎馬隊を率いて迎え」
「はい、それでは」
「さすれば」
「城への道を一直線に進め」
 信長が整えていた道をだというのだ、それは今彼等がいる場から城まで確実に続いている。そこを先に進めというのだ。
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