第百四十七話 死闘のはじまりその一
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第百四十七話 死闘のはじまり
信長は南蛮風の青い具足を着け裏地が赤の南蛮のマントそのままの陣羽織を羽織っていた、朝倉からの彼の格好だ。
その姿で青い具足と陣羽織の諸将にだ、こう告げたのだ。
「ではよいな」
「はい、今からですな」
「本願寺との戦にですな」
「出陣じゃ」
まさにそうするというのだ。
「まずは長島じゃ」
「そしてですな」
傍らにいる平手が問う、やはり彼も青い具足と陣羽織の姿だ。頭にはやはり青い烏帽子がある。髪だけが白くなっている。
「彦九郎様をお助けに」
「まずはあ奴じゃな」
信興、彼を助けに行くというのだ。
「そうしようぞ」
「畏まりました」
「それで今彦九郎はどうしておる」
「はい、古木江城において」
滝川がその問いに答える。
「籠城しておられます」
「左様か」
「健闘しておられる様ですが」
「あの城は小さい」
信興の今いる古木江城はというのだ。
「大軍で攻められてはな」
「辛いですな」
「そうじゃ、だからじゃ」
まずはというのだ。
「あ奴を助けに行くぞ」
「わかりました」
「あの城は小さいが尾張にある」
まさに信長の領地だ、彼にとっては絶対の場だ。
「そしてあそこからさらに尾張に入られてはな」
「はい、なりませぬ」
「何があろうとも」
「あの城は守る、彦九郎も兵達もだ」
城にいる彼等もだというのだ。
「わかったな」
「ではまずはですな」
「あの城を助けに向かい」
「それから長島じゃ」
伊勢における本願寺の拠点であるそこをだというのだ。
「攻めるぞ、よいな」
「畏まりました、では」
「今より」
家臣達も応える、こうしてだった。
信長は諸将を率いて岐阜城を出陣した、今回は平手も共にいる。
留守役は信長の弟の一人長益だ、彼に任せたのだ。
そのまだ若い彼にだ、信長は出陣の際こう言った。
「よいな、何があろうともな」
「はい、この城を守ってみせます」
「うむ、任せたぞ」
まだ吉法師と呼ばれていた頃の自身の面影を残す彼に言う。
「ここで御主がわかるからな」
「畏まりました」
長益も信長に応える、そのうえで信長達を見送るのだった。
岐阜城を出る信長にだ、傍らにいる平手が問うた。
「殿、源五郎様ですが」
「あ奴に城を任せることか」
「かなり思い切られましたな」
「ははは、大丈夫だ」
長益を信じている言葉だ、それを出して言うのだった。
「このことはな」
「源五郎様の資質故にですか」
「任せられぬのなら最初から言わぬわ」
留守を任せるとは、というのだ。
「だからじゃ」
「確かに、源五郎様はまだお若いですが」
幼いと言ってもいい、幼い頃に父信秀と死に別れ信長が
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