TURN112 独裁者の名その四
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「一時は」
「わかりました」
「では今はです」
ゲーペはカテーリンの前に三次元地図を開いた、そして今周りにいる四人に対してその機械的な声で言った。
「作戦会議といきましょう、秘密警察も全軍で戦います」
「前線に出てくれるのね」
「そうさせてもらいます」
ゲーペは確かな声で答えた。
「是非共」
「頼むわね、もう数でも枢軸軍の方が上だから」
カテーリンは数の信奉者だ、それでこのことをとりわけ気にしているのだ。
「ここはね」
「そう、皆が前線に出て頑張らないと」
どうしようもないというのだ。
「私も出るから」
「出来ればです」
ここで微妙な顔になってだ、ゲーペハカテーリンに言った。
「同志書記長は」
「出撃したら駄目なの?」
「国家元首自ら出撃されますと」
どうしても色々齟齬が生じるというのだ。
「ですから」
「私そういうこと嫌いだから」
自分は何もしないのは、というのだ。
「だから」
「そうですね、同志書記長は昔から」
「あのセーラ=ブリテン女王も前線で戦ってるのよ」
実はカテーリンはセーラを嫌っている、資産主義でありしかも君主である彼女はカテーリンから見れば宿敵以外の何者でもない。
「だったら私も」
「そうですか、では」
「うん、あの試作艦に乗るから」
また言うカテーリンだった。
「ミーりゃちゃんは」
「私は駆逐艦に乗るから」
それにだというのだ、ミーリャは。
「それで戦うよ」
「わかったわ」
「さて、じゃあ敵が来たらね」
最後にロシアがその素朴な声で言う。
「戦おうね」
「そして勝つから」
カテーリンはここでも毅然としていた、ソビエト軍は何とか敵と正面から戦う戦力を集めそのうえで待ち受けていた、彼等はまだ諦めていなかった。
対する枢軸軍はモスクワの修理工場をフルに動かしてロシア平原での戦いのダメージを回復させていた、その中で。
東郷はモスクワに置いた仮の司令室において三次元宙図のモニターを観ながら日本兄妹に語った。置いている場所はミーリャの首相官邸だ。
「カテーリングラードを攻略してもまだソビエト軍が戦うならだ」
「それならですね」
「さらにですね」
「そうだ、ソビエトの各星域を攻撃していく」
そして攻略していくというのだ。
「そこからだな」
「さらにですね」
「ソビエトの後は」
「ドクツだ」
次はこの国だというのだ。
「ポッポーランドやハンガリー方面から攻めていこう」
「エイリスはそれからですね」
「ドクツの後ですね」
「イタリンもだがな」
この国もだというのだ。
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