第一物語・後半-日来独立編-
第六十章 解放《5》
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放場事態を占領するしかないと思うな」
口を出したのはニチアだ。
彼女なりの考えを、迷わず口に出す。
何かと突っ掛かり易い彼女の性格ゆえに。
「戦闘艦に背負わせる形の解放場だから、まずは解放場を背負う戦闘艦を狙った方がいいんじゃないかなあ」
「やっぱりそうなるよね。よし、辰ノ大花の力も借りてあの戦闘艦を押さえよう」
映画面|《モニター》に映る駆翔天を指差し、大間かな戦術は練れた。
後はこれをどのようにして運用するか、それは彼らの技量に掛かっている。
●
ここは中央後方船・日中。
日来学勢院の校庭にて、数名の教員らが外で辰ノ大花の西貿易区域の様子を各自表示した映画面|《モニター》で見ていた。
その教員のなかには咲もおり、横には学長である榊もいた。
学長の横にいるのだから、咲の態度が自然と固くなっている。
「そんな無理して背筋真っ直ぐにしなくても。たかが学長、それだけだよ」
「ですが、あの姿を見せなかったという幻の学長ですよ。しっかりしないわけには」
「幻って。俺、別に隠れてたわけじゃないし。学長ってことを明かさなかっただけで」
「いえいえ。それでも学長なので」
意地でも背筋を伸ばし続けるらしい。
呆れる程真面目だと思う榊は、個人的には面白いと感じるのでそのままにしておく。
宇天の長が“生きよう”と発言したために、現場はかなり騒がしくなっている。どうにか出来るのか、心配しながら二人は戦いの行方を見守る。
すると、あ、から始める榊の言葉。
何かを思い出したように、背筋を伸ばしている咲に顔を向け。
「そういえば、本来三年一組の担任になる筈だった先生。この救出が上手く行けば治療も済んだみたいだし、日来に戻ってくるって連絡あったよ」
「え、本当ですか!?」
「これが上手く行ったらだけどね」
これとは、二人の長の救出のことだ。
咲は返事を返し、
「はい。心の準備をしておきます」
「あの先生は元気だからねえ。日来の戦力アップにも繋がるだろうね」
「酒代が高く付きます……」
「ざるでもあったね、あの先生」
同情の笑みを送る。
何はともあれ、全ては救出がきちんと出来た後の話しだ。
最後の最後まで油断してはならない。
実戦では、その最後まで何があるのか分からないのだから。
●
告げられた一言。
“生きよう”という、答えを。
後からセーランはその一言に、新たな一言を付け足す。
「生きよう。一緒に、な」
「私のものになってくれるか」
光乱れるなか、二人は互いを見詰め合う。
同じ場所に立ち、共に解放されているなか。
「いや、今からお前は……私だけのものだ」
「急に押しが強くなったな」
「別にいいじゃないか。だって、私はこのまま……」
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