命の盾
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を巻き込むかのような音が響く。
魔法の轟音。
水晶の砕ける爆音。
迫り来る、丸い夜空。
そして、丸い夜空は爆発を起こした。
衝撃音。
衝撃波。
「エルザーーーーーーーーー!!!!」
ナツの叫び声が響く。
断末魔に似た、全てに轟く竜の咆哮。
その隣に立つティアは無表情の面影すらも消し去り、両手で口元を覆った。
信じられないものを映すかのように、その群青色の瞳は揺れ、見開かれている。
永遠の一瞬。
その言葉が何よりも似合う、静寂。
―――――今宵の空に、星は存在しなかった。
その存在を、闇の中へと隠していた。
ただ、ただ孤独な月が、光輝いて。
今宵の空と同じように、煙幕を思わせる煙が、塔の最上階を包み込む。
そこには誰が―――。
上空に存在し、今はその姿を見せない星にも太陽にも、姿ある月にも解らないだろう。
立つのは誰か。倒れるのは誰か。そして―――この偽りの楽園の、思い交差する戦いの勝者は。
妖精か、亡霊か。その様子は覗えない。
そして、ゆっくりと―――――――その煙は、晴れていく。
「・・・え?」
閃光と女王――――2つの異名をとる少女の声が、静寂を小さく貫いた。
丸い夜空は、直撃していた。
それは紅蓮の炎を吹く桜色の竜ではなく。
それは水であり氷の鋭さを持つ群青の閃光ではなく。
そしてそれは――――――美しい緋色を靡かせる騎士ではなく。
「シモン・・・」
力強く、偉大に立っていた、1人の男に。
先ほどのエルザ同様、その立ち位置を誰にも譲る気が無いように。
その大きな背中の後ろに立つ、3人の妖精達を守る城壁のように。
自らの生命を失ってでも、妖精達を守るように。
力強く、ただ力強く、その両腕を広げて。
強い意志と、覚悟と、思いの篭った目で、楽園の支配者を睨む
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ