命の盾
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ティア・・・お前達・・・立っているのもやっとじゃないか)
そんな2人を見たエルザは、ゆっくりと思う。
一応立ってはいるが、気を抜けば倒れてしまいそうなほどに、2人はもう限界をとっくに超えていた。
だが、2人は何があろうと倒れない。諦めもしないし、戦意も無くさない。
「許さんぞォ!!!!」
ジェラールが怒号を上げながら、両腕を頭上でクロスさせる。
その瞬間、凄まじいまでの魔力が溢れた。
「うわっ!」
「きゃあっ!」
「くっ!」
ジェラールを中心に発せられる強大で膨大な魔力に、そしてそれを具現化したかのような風に、ナツ達は目を閉じる。
「な、何だこの魔力は・・・!?気持ち悪ィ・・・」
「何よ、これ・・・こんなの、知らないわよ・・・!」
「影が光源と逆に伸びている!?この魔法は!」
ナツとティアが呟き、エルザは自分の影を見て驚愕する。
「無限の闇に落ちろォォオ!!!!ドラゴンとカトレーンの魔導士ィィ!!!!」
ジェラールが叫び、魔法を放とうとした、瞬間――――――
「貴様に私が殺せるか!?」
――――――緋色の騎士が、桜色の竜と群青色の閃光の前に、立ち塞がった。
まるで、否、確実に、2人を守るように。
「ゼレフ復活に必要な肉体なのだろう!?」
エルザが怒号を上げる。
―――が、その言葉は、ジェラールには届かなかった。
「ああ・・・おおよその条件は、聖十大魔道にも匹敵する魔導士の体が必要だ。しかし、今となっては別にお前でなくてもよい」
「!」
相手の目的に必要な自分が盾になれば、相手は魔法の発動を止める。
相手が魔法を使おうが使わまいが―――エルザは確実に使わないと思っていたが―――ナツとティアの事は守れる。
エルザの考えは少し外れ―――少し、合っていた。
「3人そろって、砕け散れ!!!」
ジェラールがそう言うと同時に、その頭上に夜空を球体にしたかのような暗闇と煌めきを併せ持つ球体が現れる。
「エルザ!!!どけっ!!!」
「逃げなさいよ、早く!!!」
エルザに逃げるよう説得する―――珍しく、あのティアまでもが―――ナツとティア。
しかし、エルザにここを退く気はなかった。動く気も、逃げる気もなかった。
「お前達は何も心配するな。私が守ってやる」
エルザが呟き。
「やめろォーーーーーー!!!!」
「逃げてぇーーーーーー!!!!」
ナツとティアが必死に叫び。
「天体魔法、暗黒の楽園!!!!」
ジェラールが吼え。
―――――夜空色の闇と光を併せ持った球体が、3人に、放たれた。
空を切る音。
己の行く先全てのもの
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