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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百三十六話:先生と助手と新婚さん
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ね。
今回が済んでもまた使う機会はあるかもしれないし、どうせ夜にならないとルラムーン草は探せないんだからそれほど急ぐことも無いし。
馬車があるから多少荷物が増えても困らないし、折角だから色々と揃えておこうというつもりで。
商店街に着いて、見慣れたものから目新しいものまで色々な道具があるのに目を引かれて、ついつい動き回ろうとしますが。
「だから、一人で動くなって。俺も見るし、一緒に動けばいいだろ」
ベネット先生への対応が良くなかったのか、また過保護感が増した気のするヘンリーに、ガッチリと捕まえられます。
さっきのは私が悪かったみたいだし、これは致し方ないだろう。
元々離れようという明確な意思があって動いていたわけでも無いので、素直に従って道具を選び始めます。
「……包丁は、これでいいかな?」
「そうだな。何種類も持ち歩くのも面倒だし、それでいいだろ。二つはあったほうがいいから、それとこれにするか」
「うん」
くっついたまま道具を選ぶ私たちに、店のおじさんが声をかけてきます。
「新婚さんかい?熱いね!まとめて買ってくれるなら、安くしとくよ!」
「……」
こんなにくっついて台所用品を買い求めるとか、確かに熱々新婚夫婦以外の何者にも見えないだろうけれども。
事実とは明らかに異なるわけだが、さて何て答えるべきか。
と一瞬迷った私を、ヘンリーがさらに抱き寄せて答えます。
「ありがとう。コイツの料理は美味いんだが、この店の道具ならもっと美味くなりそうだな。この包丁と、そっちの鍋と。安くなるなら、食器も買っていくかな……」
「お、太っ腹だね、ご主人!奥さんも可愛いし、それなら大負けに負けて、これくらいで」
「それくらいか。さて、どうするか」
なんか値段交渉が始まりました。
そうか、新婚さんだから負けてくれるという話の流れだったから。
実際に新婚さんじゃなければ負けてくれないとも限らないが、そういうことにしたほうが話が早いのか。
ならば私も可愛い新妻として、甘えた仕草の一つも見せたほうがいいのか。
「……ヘンリー。あの食器、素敵だから私も欲しいけど。でもちょっと、予算が足りないかな……」
ヘンリーに甘えかかりつつ、店のおじさんと食器をチラリと、残念そうに見やります。
たちまち、店のおじさんの顔が赤くなります。
「そ、そうかい!?気に入ってくれたのかい!そうだな、それなら特別だ!全部まとめて、この値段でどうだ!」
「え、いいんですか!?……でもやっぱり、まだちょっと……予算が……」
一瞬顔を輝かせ、またすぐに沈んだ様子で悲しそうに食器を見詰める私。
この値段でも別に買えるけど、まあ折角だし。
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