Introduction
第五話 クラス代表決定戦
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動の連撃を加えていく。
一方の楯無もランスを一度手放し、それに応じる。時折楯無の攻撃も紫苑に届くものの、有効打の数では分が悪く、彼女は距離を取る機会を窺っていた。
「さっきも凄かったですけど……今回もまた……」
「最初の突撃をなんであんな無謀な止め方したんですか?」
場が拮抗したのを見て感嘆の声とともに、おなじみとなった千冬への解説を求める声があがる。
「……あれはそれを実行する難易度を考慮しなければ、最もリスクの少ない行動だろう。あれだけ高速回転しているんだ、触れるだけでダメージは免れん。ということは剣で受け流すこともできんし、躱してもその方向にランスを動かされるだけで完全には避けきれない可能性がある。……つまり『可能』ならあの行動が無傷でやり過ごす最善手だ」
「…………」
当たり前のように解説する千冬と当たり前のようにやってのけていた紫苑に対してなんとも言えない空気となった。こう言ってのけるということは千冬も恐らく当たり前のようにできるのだろう、と全員が察した。このクラスにいる限り、こうやって彼女たちの常識は徐々に崩れていくのだろう。
自分たちの戦いが、クラスメートの常識を破壊していることなどつゆ知らず、繰り返される攻防に集中している。そんな折、転機が訪れる。かなりの時間、防御に回りながらも隙を窺っていた楯無が一気に行動にでる。
それは隙と言うにはあまりにも小さなものだったが、故に二人の戦いでは大きなものとなった。本来の軌道よりほんのわずかにズレた拳を避け、楯無はそのまま紫苑の腕を掴み勢いを巻き込みながら投げ飛ばす。いわゆる合気の要領だ。そのまま凄まじい勢いで壁まで飛ばされアリーナに衝撃音が響き渡る。
楯無はすぐさま追撃を行おうかと考えるが、先ほどまでのダメージが抜けきれず距離を取るにとどまる。
やがて砂埃から現れた紫苑も、それなりのダメージを受けたようで静かに体勢を整え直し再び開始前のように向かい合う形となる。
『……今のは湿度変化ですか?』
『やれやれ、そこまでお見通し? こうして戦うのは初めてなのに全部見透かされている気がするわ』
あの攻防の最中、楯無は自身の周辺に水を霧散させることで急激な湿度変化を起こしていた。あまりに急激な環境変化により、ほんの僅か、本当に些細な差異で紫苑の攻撃にブレが生じたため、そこに楯無が付け入ったのだ。ちなみにさしもの千冬も紫苑と違ってミステリアス・レイディのスペックを完全に把握している訳ではないためこのやり取りの詳細は解説できなかった。
『私も出し惜しみ出来る状況ではないですね』
言うや否や、紫苑はそのまま真っ直ぐに楯無に向かってイグニッション・ブーストを仕掛けた。だれの目にも愚策と見えたその行動に、楯無は先ほどの紫苑の行動も鑑み
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