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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第五話 クラス代表決定戦
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コールド・ブラッドのブラッディファングは近〜中距離をカバーできる。お互いが近距離主体である以上、この手札の違いは大きく影響する」

 モニターを見ながらスーツ姿の凛とした女性、織斑千冬は隣にいる真耶に解説をする。その言葉を真耶は、モニターから目を離さず聞きながら、感心したような声を漏らしながら大きく息を吐く。

「それにサファイアは射撃系の武装も量子変換(インストール)してある。近距離でしか戦えない西園寺と、遠〜中距離もカバーできるサファイア。常識で見れば勝負は見えている」
「西園寺さんの武装は近距離しかないんですか?」
「ああ、奴の拡張領域(バススロット)は全く空きがない。にもかかわらず初期装備(プリセット)で使えるものは近距離用のソード一つだ。……他にもあるらしいが使えなくなっているようだ」
「それでは西園寺さんでも厳しいですよね〜、なんとか懐に潜り込んで自分の得意なフィールドに入れたとしても、そここそが相手の本領が発揮できる場所なんて」
「常識で、と言った。懐に入った時点で西園寺の勝ちだ。あいつ()……常識の埒外にいる」




 


「もうすぐ開始ッスけど手ぶらでいいんスか?」
「はい、これが私のスタイルなので」

 ISだけ展開し、武装を一切見せない僕にフォルテさんは訝しげに聞いてくる。僕にはどちらにしろネームレスしか武装の選択肢がない。だから、敢えて僕は『無手』という選択肢を作る。相手が戦車や戦闘機などなら意味がないが、ISを操る人だからこそ活きてくる選択肢。距離を詰めなければならないが、ネームレスを使うにしてもそれは変わらない。

 試合開始のブザーが鳴ると同時に、フォルテさんがあらかじめ展開させていた二丁のハンドガンタイプの武装で牽制を試みる。『ルーチェ』と呼ばれるこの武装は、威力こそ必殺級ではないがその分反動も少なく小回りも効く。
 威力が低いとはいえ、そのまま受ける訳にもいかないので当たらないギリギリの角度を予測(・・)し斜め前方に向かって瞬時加速(イグニッションブースト)を行う。
 フォルテさんの攻撃は予測通りの射線を通り、同時に僕は一気に距離を詰める。
 彼女も一瞬動揺を見せたもののすぐに構え直し、再度射撃を繰り返す。しかし、先ほどよりも牽制の色が濃い射撃は僕の動きを制限するように散らばるが、ほとんど当たることはない。僕は最も被害の少ないルートを見極め、再び加速に入る。……罠があることを承知で。

『かかったッスね!』

 フォルテさんまであと4メートルほどというところまで迫った時、彼女の背面に控えていたブラッディファングが文字通り牙を向いた。四方向からの同時攻撃、このまま真っ直ぐに進めば彼女の懐に入りきる前にその咢に噛み砕かれる。

「それは予測済みです
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