暁 〜小説投稿サイト〜
カンピオーネ!5人”の”神殺し
ルリム・シャイコースの驚異
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
魔人だ。テレパシーを使えるのだよ)

(魔人さん・・・ですか・・・!)

 魔人。
 古来より、人間と敵対してきた種族である。生まれながらに人を超越した超常の力を持ち、頑丈で、寿命も長い。個体数が少ないから人間に敗北してきたが、時には神にすら匹敵する魔人が生まれることもあり、人類とは一進一退の攻防を繰り返していた。
 【聖魔王】の誕生によってその争いは終結したが、長いあいだ刻まれた溝はそう簡単に埋まる物ではない。祐里も、実際に目にするのは初めてであった。

(今、意識がありそうな全員に話しかけている。・・・どうだね?ここから逃げ出さないか?)

(出来るのですか、そんなことが!?)

 祐里は驚いた。この魔人は、あろうことか、この状況下でまつろわぬ神から逃げようと言っているのだ!

(賭けだよ。この状況では、全員まとめてアイツの胃袋の中さ。・・・なら、ほんの数%でも可能性のあるほうに賭けたいだろう?)

(・・・はい!分かりました!!)

(操られている人間は、流石に助けられない。・・・可哀想だがね。)

(・・・・・・・・・は、い・・・)

 祐里は、力のない自分を呪った。不甲斐ない自分を、心から恨んだ。

(作戦は簡単さ。他の魔人が、攻撃して意識を逸らす。・・・そしたら、全員で一斉に逃げる。別々の方向へね。)

(・・・それは・・・!)

(誰が捕まっても恨みっこなし。自分の運を信じるしかない、ね)

(・・・分かり、ました・・・・・・!)

 泣きそうになる自分を叱咤し、祐里は前を向く。数千人はいたはずの広間は、既に数百人まで減っていた。たかが数メートルしかないあの化物の腹に、それだけの人数が収められたのだ。明らかに体積を超えているが、神々に常識を求めても仕方がない。
 今分かっている事は、あの神の食欲は随分旺盛だということ。このままなら、あと数分もしないで全ての人間が喰われるだろう。
 ・・・覚悟を決めるしか、無かった。

(カウント3で攻撃する!その瞬間に逃げるんだ!)

 広間に集まった人間や魔人の中、数人の体に力が込められる。これだけ寒いのに、体から冷や汗が吹き出る。
 この汗のせいでバレたらどうしようと、祐里は不安になったりもした。

(1!)

 しかし、作戦開始はすぐそこ。意識を集中する。

(2!)

 ゴクリ、と喉がなる。

「3!今だ!!!」

 その言葉と同時、魔人が攻撃を開始する。
 虚空からトランプをバラバラと出現させ、切り刻もうとする者。一瞬でピエロ服に着替え、ジャグリングや玉乗りのボールで攻撃する者、腕に龍の鱗が出現し、地面を殴って爆発させる者。
 風が、炎が、土が水が。
 たった数人しか居ない筈の魔人から、数え切れ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ