ルリム・シャイコースの驚異
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魔人だ。テレパシーを使えるのだよ)
(魔人さん・・・ですか・・・!)
魔人。
古来より、人間と敵対してきた種族である。生まれながらに人を超越した超常の力を持ち、頑丈で、寿命も長い。個体数が少ないから人間に敗北してきたが、時には神にすら匹敵する魔人が生まれることもあり、人類とは一進一退の攻防を繰り返していた。
【聖魔王】の誕生によってその争いは終結したが、長いあいだ刻まれた溝はそう簡単に埋まる物ではない。祐里も、実際に目にするのは初めてであった。
(今、意識がありそうな全員に話しかけている。・・・どうだね?ここから逃げ出さないか?)
(出来るのですか、そんなことが!?)
祐里は驚いた。この魔人は、あろうことか、この状況下でまつろわぬ神から逃げようと言っているのだ!
(賭けだよ。この状況では、全員まとめてアイツの胃袋の中さ。・・・なら、ほんの数%でも可能性のあるほうに賭けたいだろう?)
(・・・はい!分かりました!!)
(操られている人間は、流石に助けられない。・・・可哀想だがね。)
(・・・・・・・・・は、い・・・)
祐里は、力のない自分を呪った。不甲斐ない自分を、心から恨んだ。
(作戦は簡単さ。他の魔人が、攻撃して意識を逸らす。・・・そしたら、全員で一斉に逃げる。別々の方向へね。)
(・・・それは・・・!)
(誰が捕まっても恨みっこなし。自分の運を信じるしかない、ね)
(・・・分かり、ました・・・・・・!)
泣きそうになる自分を叱咤し、祐里は前を向く。数千人はいたはずの広間は、既に数百人まで減っていた。たかが数メートルしかないあの化物の腹に、それだけの人数が収められたのだ。明らかに体積を超えているが、神々に常識を求めても仕方がない。
今分かっている事は、あの神の食欲は随分旺盛だということ。このままなら、あと数分もしないで全ての人間が喰われるだろう。
・・・覚悟を決めるしか、無かった。
(カウント3で攻撃する!その瞬間に逃げるんだ!)
広間に集まった人間や魔人の中、数人の体に力が込められる。これだけ寒いのに、体から冷や汗が吹き出る。
この汗のせいでバレたらどうしようと、祐里は不安になったりもした。
(1!)
しかし、作戦開始はすぐそこ。意識を集中する。
(2!)
ゴクリ、と喉がなる。
「3!今だ!!!」
その言葉と同時、魔人が攻撃を開始する。
虚空からトランプをバラバラと出現させ、切り刻もうとする者。一瞬でピエロ服に着替え、ジャグリングや玉乗りのボールで攻撃する者、腕に龍の鱗が出現し、地面を殴って爆発させる者。
風が、炎が、土が水が。
たった数人しか居ない筈の魔人から、数え切れ
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