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錆びた蒼い機械甲冑
Y:理不尽な騎士
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 第三層のフロアボス討伐は、今まで以上に難攻していた。


 数人で取り囲もうにもすぐに脱出されるか吹き飛ばしで包囲を崩され、攻撃しようにも最小限の動作で避けられ武器ではじかれる。止めと言わんばかりの、隙や無駄が殆ど無い攻撃の数々。戦闘開始から十分は経つが、未だに敵のHPバーは半分どころか数ミリも減っていない。


 再びHPバーが十分にある者達が向かっていくが、短剣使いの通常攻撃はかわされて体勢を崩され、逆に自分の体を盾に使われてしまう。そうして右方の者達を一時的に遮った機械騎士は、続けてきた片手剣使いの『スラント』を、彼の腕に盾部分を当てて受け止め、驚愕する片手剣使いを体当たりで打っ飛ばしてもう一人に当てると、後ろに居た者にソバットを打ち込んで吹き飛ばす。
 そして残った右側のプレイヤー達に投げナイフを投擲し、その場から跳び退って剣を腰に構え此方を威圧した。


「くそっ…無茶苦茶じゃねぇかあいつ……!」


 とあるパーティの一人が思わず声を漏らすが、それは仕方ないモノだとキリトは思った。


 まずサイズが今までの二対のボスよりも小さい(とはいってもこのレイド部隊の中での最高身長を持つ、スキンヘッドの大柄な黒い肌の男性プレイヤー・“エギル”より大きいが)為、囲んで攻撃できても精々五、六人……もっと自由に攻撃するなら三人まで絞る必要がある。巨大なMobなら大人数で囲んでもお互いのプレイヤーの間に自然と間が出来るが、小さなMobとなると攻撃の的の小ささや対象の全長、そして攻撃の範囲の影響もあってそんなに大人数では囲めないのだ。

 そして純粋に強い。
 キリトはこのボス戦に挑む前、キャンペーン・クエストの為にエルフと、そしてとある経歴でぶつかる事となり正体を暴く為に“モルテ”というプレイヤーと戦ったが、眼の前の機械騎士の強さと技術はその者達の比では無かった。
 一対多の戦い方といい対人戦闘のやり方といい、まるで中に武術の達人でも入っているんじゃないかと疑う程に強いのだ。

 事実、キリトの片手剣スキルニ連水平斬り『ホリゾンタル・アーク』と、体術スキル単発技『閃打』の組み合わせを、前者はギリギリ届かない位置までステップで下がることで、後者は何とスキルがきれる瞬間をねらって腕を掴み、此方に向おうとしていたプレイヤー達めがけて思いっきり投げ付けられた事で無効化されたのだ。
 後方のプレイヤーを攻撃した隙を見て出した技が完璧にかわされ、おまけに自分を他者への妨害に使われたキリトは、投げられた時の気持ちの悪い浮遊感も合わせて、少しの間前線から離れた場所で止まってしまった。


「おどれ、あのメカ鎧について何か知らんのか?」
「……悪いなキバオウさん。俺はあんな奴、ベータで見た事も聞いたこともない」
「おどれの
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