【七つの大罪】フォックス・シンの欲しいもの
[2/7]
[1]次 [9]前 最後 最初
…俺もよ、好きだぜ。エレイン、おまえが好きだ」
「知ってるよ。だって私、人の心がわかるもの。だから伝わってくるの、バンの私への気持ちが。すっごくすっごく伝わってくるの。私、嬉しいよ。こんなに私のこと好きになってくれて」
バンはエレインの舌を振りほどき、エレインの歯茎を、エレインの舌裏を、エレインの歯を、エレインの口の中を、隅々に渡って撫でまわす。
ひどく大胆で荒々しい、しかしとても優しくて繊細。
エレインはピクンと身体を揺らし、うっとりとした顔をしながらバンに身をまかせる。
「バン……大好き……」
エレインは涙を流しながら、バンの正直すぎる口づけに酔いしれる。
「エレイン、おまえにお願いがある」
「お願い?」
「ああ、今どうしても欲しいものがあるんだ。俺はそれを手にするために、ここに来たんだ」
バンは無造作に唇を離し、エレインの目をまっすぐに見つめながら真顔で言う。
「俺は絶対におまえを蘇らせる。それがいつになるかはわからねえが、絶対に蘇らせるぜ。だが、それまでの間、どうしても欲しいものがあんだよ」
「欲しいもの? それって私があげられるものなの?」
バンは涙で濡れているエレインの頬を、長い舌で舐め拭く。
「ああ、そうだ。俺はおまえとの思い出が欲しい。とびきりの思い出が欲しいんだ」
「思い出? とびきりの?」
「思い出って奴はよ、すっげー大事なんだよ。すげぇきついときでもよ、すっげぇヤベぇときでもよ、ぜってぇに無理ってときにでもよ、とびきりの思い出って奴があれば、なんとかなっちまうんだよ」
「思い出が人を支えてる……ってこと?」
「そうだぜ。俺みてぇなカス野郎のクソ人生でもよ、それなりにいい思い出ってのがちらほらあんだよ。お宝を手に入れたりよ、最高にうんめぇエールと出会ったりよ。気持ちが落ちまったときには、そういうのが俺を支えてくれんだよ」
「そうね、バンの言う通りだよ。私にもそういうのあるもの……うん、私もバンとの思い出が欲しい! とびっきりの思い出が欲しいよ!」
バンはエレインの耳に優しく噛みつく。
そして耳を丁寧に舐めながら、ツツぅとエレインの首筋に舌を滑らせる。
「んぁッ、バ、バン……」
潤んだ目をしながら切ない顔でバンを受け入れるエレイン。
性の経験が皆無な聖女エレインは、緊張して身体をこわばらせている。
そんなエレインの首筋を這いまわるバンの舌はひどくゾクゾクして、エレインの気持ちが変にされていく。
そしてエレインの強張った身体は、心地よく弛緩していく。
「おまえは何もしなくていい……俺に全部まかせてろ……」
バンの言葉を聞いて、エレインは力の抜けた身体を起こす。
そしてバン
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ