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役職に立ちぱなっしだったでは無いか。
転生した世界では、自ら望んだとはいえ大財団の創立者として、社員達の前では立派に振舞いパイロットとしてアルトを駆って戦場を駆け抜けた。いざその人生を終えてみれば自分の我侭に答えてくれるように神になるための研修を受け、自分の傍にいる為に最短で研修を完了させて、いざ終わったと思えばとんでもない役目を与えられて休む暇も無いほどの重労働。そして、初恋の相手を殺す仕事が回ってきた…。
それがどれ程までに辛かったのか、自分には想像も付かない。でもキョウスケは今日まで誰にも自分の心の中で思ってきた本当の声を出さないで来た。上に立つ者として、示しが付く様にと、心配をかけまいと気丈に振舞って来たのだろう。
「今でも、思い出すと震えが止まらなくなるんだ!!千夏の身体に穴が開いて、血が流れて、一瞬で絶命して、俺を、恨めしい目で笑いながら見つめてる千夏が!!俺は…俺はぁ…」
もうキョウスケは普段の姿とは思えなかった。其処に居るのは戦神ではない、準最高神でもない。ただただ、泣き崩れている一人の男だ。今まで溜め込んだ分、それが一気に溢れだして来たのだ。エクナはそっと立ち上がって、キョウスケの傍に座って、優しく抱きしめた。キョウスケはびくりと身体を震わせて、エクナを怯えた目で見つめる。もう、其処に居るのはキョウスケではない、南武 恭介という少年だ。
「キョウスケ様……全ては私が悪いのです…、許してくださいというのはもう遅いでしょうし可笑しいでしょう。しかし、貴方がした行為は神としては良い行為とはいえません。ですが」
エクナはキョウスケの頭を撫でながら呟く。女神という名に相応しい、優しさに満ちた笑みを浮かべながら。
「貴方は人間として正しい事をしたと言えるでしょう。愛した人を、救いたかった人を救ったのですから。例え、誰がなんと言おうともです。そして…貴方という神は、もう…」
エクナはキョウスケの頭を撫でながら幾つかの選択種を示した。それが、エクナが出来る精一杯のキョウスケへの愛だった。キョウスケはその選択種の中で、一つを選んだ。
それは――――――
神として、今後も生き続けることだった。キョウスケは、涙を流しながらも、愛する人を一度殺してしまったという事を経ても尚、キョウスケはエクナの手を取った。そうしなければならないと思ったから、そうしなければ、自分は何もかも失うと思ったから…。
「世話を……掛けたな……エクナ」
「いいえ、妻として当たり前の事をしたまでです」
「俺が、他の選択をしたら…お前は失望していたか…?」
「いいえ、私はそれを選んだとしても、貴方だけを愛し続けます」
「そうか…少し眠い、胸を貸してくれ」
「はい、ゆっくりお眠りください」
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