ターン32 南方の大自然と暗黒の中世
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12000
隼人 LP1000→0
「ま、負けたんだな」
「隼人……」
何か言おうと思ったけど、今声をかけても月並みな言葉しか出ないだろうと思い口を閉じる。ああいった状況での気持ちは大事な局面での負けが多い僕が一番わかってると思う。少なくとも僕なら、中途半端な同情はよけい自分が惨めになるだけだ。
「シニョール前田、あなたは立派に成長したノーネ。あそこまで私が追い込まれるとは思っていませんでシタ」
「………でも、結局俺、負けちゃったんだな。だけど、俺、すごくワクワクした。あんなに楽しいデュエル、初めてだったんだな」
「その通りです、前田君」
そこで口を開いたのは、鮫島校長だった。優しげな笑みを浮かべながら、ボロボロと悔し涙をこぼす隼人に向かってゆっくりと話しかけていく。
「前田君、君のデュエルを見て私は確信しました。デュエルを愛する心を持つ君ならば、きっといいカードデザイナーになれるでしょう。クロノス先生、よろしいですか?」
「もちろん。シニョール前田、あなたの推薦は私が許可するノーネ。だから、あちらでもしっかりやってきてくだサイ!」
「………はい、わかりました!!」
そして、その次の日。いよいよ本土に向けて旅立つ隼人をレッド寮総出で見送りに来ていたのだが、肝心の隼人が来ない。あとユーノもいない。おっかしいなあ、もうヘリ来てるんだよ?……あ、やっと走ってきた。
「ご、ごめんなさいなんだな〜!」
『悪ぃ悪ぃ、遅れちまった』
「遅いよ隼人、どこ行ってたの!?」
「俺の師匠に、最後のお礼を言ってきたんだな………」
師匠だのなんだのよくわからないことを言っている隼人に首をかしげつつ、胸ポケットから1枚のカードを差し出す。何があったのかは知らないけど、まだこれを渡してなかったからね。
「はい、これ」
「エアーズロック・サンライズ………」
一瞬嬉しそうな顔をするものの、すぐに後ろめたそうな表情がとってかわる。もしかして、まだ負けたことを気にしてるんだろうか。気持ちはわからないでもないんだけどね。
「少なくとも僕は、受け取っていいと思うよ。昨日のデュエル、すごくワクワクしたもん」
そう言うと、やっと決心したように受け取った。そのカードをそっとデッキに入れ、ヘリのパイロットに頭を下げてから乗り込んでいく。
「さようなら、みんな!これまでありがとうなんだな〜!」
「またね、隼人ー!」
「じゃあな、元気でなー!」
「また戻って来い、この俺様直々に相手してやる!」
「さよならッス、隼人君!」
そして上昇していくヘリ。窓にへばりつくようにこちらを見ている隼人の横の窓には隼人の精霊、デス・コアラが笑顔でぶんぶんと手を振っているの
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