ターン32 南方の大自然と暗黒の中世
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「る〜る〜るるるるる〜るっるるっる〜♪きょーうっもごっはんが、できましたー!」
メロディーもリズムも完全に即興の、僕自身ですら二度と再現不可能な歌を口ずさんでリズムをとりながら、手首をひねることでフライパンを振ってその中身、我ながらいい感じにぱらっぱらになったチャーハンを人数分の皿に盛りつけていく。ああ、今日も人生が無駄に楽しくてしょうがない。
「盛り付けよし、副菜よし、スープよし、デザート………は、まあ明日にはできるかな。よしサッカー、ちょっと上行って十代たち引っ張ってきてー」
幻魔との戦いが終わってから、かれこれ二週間経ったらしい。らしいというのは単に、つい昨日まで僕が意識不明だったため今一つそんなに時間がたった実感がないというだけだ。鮎川先生はまだ今日も保健室で入院していて欲しかったみたいだし、その気持ちもわからないではない。だけどやっぱり、じっとしてたり入院したりは性に合わない。料理してる方が楽しいし。
「やり、今日は久しぶりに清明のメシだ!」
「おい十代!勝手に一番大きいのを持っていくな!………まったく、お前がいない間ずっとこいつらのうまくもないメシを食う羽目になってたんだ。そしてお前のメシはこの万丈目サンダーが認める程度の味はある。だから、もう勝手に倒れたりするなよ」
「悪いけど万丈目君の料理もはっきり言ってあんまりおいしくなかったッスよ」
『うんうん。精霊のアタイたちもカードの中に隠れたくなるくらい焦げ臭かったのもあるしね〜』
こんなひねくれた言い方だけど、要するに万丈目も心配してくれたんだ。こんな風にワイワイ会話してるのを見ると、つくづく日常ってやつが戻ってきたんだろうなあ、と思う。ちょっとしみじみ。と、一人だけいつもと反応が違うことに気が付いた。
「あれ隼人、食べないの?風邪でもひいた?」
いつもは率先してやってきて配膳やらなんやらもちょっとは手伝ってくれる隼人が、今日はずいぶんと元気がなさそうだ。目の下にはうっすらとくまができ、どうも顔色も心なしか悪い。もしかして病気だろうか。
「あ、そういえば清明君は知らなかったッスね。実は隼人君、明日の進級試験受けることになったんだよ」
「え、それホント!?なんで誰も教えてくんなかったのさ!」
「いや、だっててっきりもう知ってるもんだとばっかり………」
「僕この一日入院中だったよ!?」
「悪い悪い」
あ、十代この顔は全然悪いと思ってない顔だ。しかし、隼人が進級試験か。
「ちなみに相手は?」
「………クロノス教諭、なんだな」
「ここで隼人が勝てば推薦がもらえて、あのI2社に入ることができるんだぜ!ペガサスさんからの大抜擢だ!」
なるほど、そりゃ緊張で胃も痛くなろうってものだ
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