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Cross Ballade
第2部:学祭1日目
第8話『暗転』
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!」
「ま、私も行くつもりだけどな。あくまで彼氏探しだ」
「結局彼氏目当てか。西園寺はどうすんだよ」
 澪の問いかけに、律は笑顔を消して、
「私が入り込める余地もねえだろうさ。それに西園寺にはダチがたくさんいるし。
そのうち立ち直るだろう」
「でも、背中を押す人間は必要だよ。ひょっとしたら、お前になるかもしれない。
さて、後は唯か」

 律は梓からのメールを見ながら、
「あいつ、あれからずっと部屋にこもりっぱなしか」
「らしいな。菓子も拒否していることを考えると、相変わらず重症だな…」澪は、急に表情を深刻にして、言った。「なあ、あり得ないとは思うけど…もし西園寺が、伊藤のことをあきらめていなかったら、どうする?」
「は?」
「放課後ティータイムファンクラブに入ったのは、西園寺とその友達だけだったんだよな。
あいつらにとって、伊藤を手に入れるためには、桂は邪魔な存在なはず」
 律も思案顔になり、
「…そう言えばあいつら、桂のことをかなり嫌ってた。西園寺はそうでもないみてえだけど。
それはいいとして、澪…」
 律は真剣な目で、澪を見る。
「お前が桂をかばっていることが知られたら、お前までも浮いちまうかもしれない。
それでもお前、あいつのサポートを続けるつもりなのか?」
 澪は、その後のことを、想像した。
 後に続くのは、ろくなことがない…。
「…正直、分からない。」
 2人は榊野を出て、唯の家へと足を進めていく。
「ひょっとしたらうちらも、割れるかもしれないな…」
 律の口調は、半分自嘲気味。
「割れる…」
 さびしがりやで、長らく律だけがたった一人の親友であった澪には、それが耐えきれない。想像したくもない。
「ま、割れちまってるか。唯が伊藤にちょっかいを出してから。
だけど、私たちはぐだぐだながら仲良くやってきたんだから、今回もぐだぐだやればいいんじゃねえか。どんな状況になっても、のろのろだらだらとさ」
「そうだな…動じないのが大人だな…みんなを、信じなきゃな…」
 最後に澪は、携帯で電話をして、
「それにしても(のどか)の奴、こんな時に限って連絡が取れないとは…。
唯が大変なのに…」


 言葉と誠は、同じ電車に乗って家路についた。
 榊野学園に入学した時から、お互い見かけた場所。だけど長い間、話すことはなかった。
 そして世界によってお互いが紹介され、曲折あって…。
 言葉が触れられるのを拒否してから、世界が『練習』を持ちかけ…。
 本来自分は言葉と付き合うべきだったのに、それからその時の快感が忘れられなくなって…。
 だから、これでいいんだ。
 そんな思いが、頭をよぎった。
 その時、誠の頭の中で、ふいと唯の笑顔が浮かんだ。
 同じく、榊野学園に入ってから、コンビ
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